「奇皇后」は2013年のMBC演技大賞で7冠を獲得し、最高視聴率33.9%を記録した大ヒット時代劇です。
ハ・ジウォンさんやチュ・ジンモさんにとっての代表作の一つであり、奇皇后という実在した人物を主人公にしたアクションありロマンスあり権力闘争ありのエンタメ時代劇として高く評価されました。
ちなみに大ヒット映画「パラサイト 半地下の家族」や、「新感染ファイナル・エクスプレス」のヨン・サンホ監督が脚本を手掛けたドラマ「謗法」、そのスピンオフ映画「呪呪呪死者をあやつるもの」などに出演する今大活躍中の若手女優チョン・ジソさんが子役として、ドラマ「グッバイ ミスターブラック」「グッド・キャスティング」などのユ・イニョンさんも本作に出演しています。
今回はそんな「奇皇后」についてご紹介したいと思います。
ハ・ジウォンさん自身もこれまで何度も挑戦してきた男装要素が盛り込まれた作品でもあり、二人の地位も名誉も備えたイケメン男性から想いを寄せられるという三角関係、そして主人公のシンデレラストーリーも盛り込まれるなど、実在した人物を主人公にしながらもエンタメとして楽しませるためのフィクションが多分に含まれているドラマです。
そして権力闘争に関しては、高麗と元の二国を描くので通常の韓国時代劇よりも複雑になっており、元の意向に左右される高麗の状況もさることながら、元国内でも対抗勢力があるなど見ごたえ十分となります。
当時の大国・元の属国であった高麗から元へと送られた低い身分の少女が、どのような波乱万丈な人生を経て元の皇后の地位にまで上り詰めることになったのかが見どころとなります。
14世紀頃の高麗は大国・元の属国として“貢女(コンニョ)”と呼ばれる女性の貢ぎ物を送る決まりがありました。そんなコンニョの中の一人だった少女ヤンは、人質として同行していた高麗の世子ワン・ユの助けにより逃げのびることに成功します。しかし、その過程で母親を元の武将に殺されてしまったヤンは、スンニャンという少年に男装してワン・ユの叔父に仕えることになります。
やがて、弓の名手へと成長したスンニャンは高麗王となったワン・ユと再会するのですが、ワン・ユは元と組んで玉座を狙う叔父の悪事を暴きに来ていたのです。
一方、元を牛耳る丞相ヨンチョルの企みにより高麗へ流罪にされた元の皇太子タファンは、高麗の兵士となっていたスンニャンと出会います。そして丞相から命を狙われるタファンの護衛役として次第に心を通わせていきます。
今回はそんな名作ドラマの出演者たちが現在どのような活躍をしているのかをご紹介したいと思います。
では不朽の名作と呼び声高い「奇皇后」の主要キャストをご紹介していきましょう。
高麗の少女ヤンから少年スンニャンとなり、やがて元の皇后にまで上り詰めるという壮絶な経歴を持つ主人公です。
素性を隠して男装していた頃は弓の名手としてならず者集団を率いていたほどのカリスマ性があり、のちに武官となり高麗王に仕えることになります。
家族や仲間たちを殺した者への復讐心は凄まじいものですが、それでいて高麗王ワン・ユと元の皇帝タファンの両名から愛されるという魅力の持ち主でもあります。
ハ・ジウォンさんといえば90年代より活躍する第一次韓流ブームを牽引したスター俳優の一人として知られていますが、
初期の彼女は“ホラークイーン”として有名になり、アクション女優としての第一歩を踏み出した時代劇「チェオクの剣」や、愛憎劇「バリでの出来事」の大ヒットにより確固たる地位を確立していきます。
その後も朝鮮時代の妓生に扮した「ファン・ジニ」や観客動員数1,000万人超えの大ヒット映画「TSUNAMI-ツナミ-」、現在のヒョンビンさん人気のきっかけを作った大ヒットドラマ「シークレット・ガーデン」など、彼女の代表作を挙げるとキリがありません。
個人的には人気台湾ドラマをリメイクしたラブコメ「君を愛した時間〜ワタシとカレの恋愛白書」でのハ・ジウォンさんも可愛らしくて好みなんですが、ファンの方の人気が一番高い作品といえばやはり「奇皇后」でしょう!
前述したように韓国を代表する女優の一人であるハ・ジウォンさんですが、近年の活動状況は比較的緩やかで、ドラマ「チョコレート」(2020)や「カーテンコール」(2022)への出演くらいとなります。
2023年時点では所属事務所の公式YouTubeチャンネルで、ハ・ジウォンさんが叔母の家で農家生活をする映像が見れるので、そちらも是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
高麗王ワン・ユもまた主人公と同様に激動の人生を送った人物です。人質として元へ送られたり、王になっても元から暗殺未遂の濡れ衣を着せられたり、廃位させられ元へ連行され、のちに高麗王に復位します。
ヤンとも一度は結ばれますが、結局ヤンはタファンの元へ嫁ぐことになるのです。
90年代より第一線で活躍してきたチュ・ジンモさんは、映画「MUSA -武士-」「カンナさん大成功です!」といったヒット作により高い人気を獲得しました。
その後も定期的に映画やドラマに出演してきましたが、ハン・イェスルさんと共演した2019年のドラマ「ビッグイシュー〜正義か、悪か〜」以降はこれといった作品に出演していないようです。
韓国芸能界で一時期波紋を呼んだ携帯電話ハッキング事件の被害者の一人だったそうなので、この騒動による活動休止がまだ続いているのかもしれませんね。
流刑先の高麗で命を狙われたのち元の皇帝となったタファンは、高麗で出会った主人公に惹かれ、のちに側室として元へ迎え入れます。
そしてタファンを操ろうとする丞相ヨンチョルに主人公と共に復讐するのです。
しかし、のちの丞相ペガンを盲信したことで元の国力を著しく落とすことになります。
主人公に対しての愛は貫き通した一途な人物です。
チ・チャンウクさんは、デビューしてすぐにドラマ「ソル薬局の息子たち」や「笑ってトンヘ」といった大ヒット作に恵まれますが、演技力が評価されたのは本作からです。
その後は名作ドラマ「ヒーラー〜最高の恋人〜」や「あやしいパートナー〜Destiny Lovers〜」、初主演映画「操作された都市」などがヒットし人気俳優としての地位を確立します。
個人的には「ヒーラー」が大好きですが、それとは違った骨太なアクションを披露したドラマ「THE K2~キミだけを守りたい~」もオススメしたいですね。
2022年以降の彼の活躍はNetflixドラマ「アンナラスマナラ」にはじまり、「あなたの願いを言えば」、Disney+作品「最悪の悪」に主演し、さらに「ウェルカム・トゥ・サムダルリ」、「于氏王后」といったドラマの放送も決まっています。
タナシルリはタファンの最初の皇后です。
国の実権を握る権力者であった宰相ヨンチョルの娘であることをいいことにやりたい放題した典型的な悪女であり、嫉妬深いだけでなく思い込みも激しいという厄介な人物です。
主人公がタファンの側室となってからは、宮廷内で権力闘争を繰り広げることになります。
ペク・ジニさんにとって初の悪役を演じた作品であり出世作でもあります。
本作出演以降は主演としての地位を確立し、「いとしのクム・サウォル」「ジャグラス〜氷のボスに恋の魔法を〜」「美味しい初恋~ゴハン行こうよ〜」などに出演しています。
最新作は2023年夏まで放送されたドラマ「本物が現れた!」です。
元の皇太后でありタファンの叔母という立場から、タファンの後見人として権力者である丞相ヨンチョルと対立します。しかし、のちには主人公と対立することとなります。
大ヒットドラマ「パリの恋人」で注目され、「ジャイアント」や映画「ベルリン・ファイル」といった作品に出演してきたキム・ソヒョンさんの時代劇初挑戦作です。
本作以降は映画「悪女/AKUJO」といった話題作から、社会現象となったドラマ「SKYキャッスル」などにも出演し、2020年にドラマ「誰も知らない」初の単独主演を果たします。
最新作は2023年に放送された角田光代の同名小説が原作のドラマ「紙の月」です。
チェ・ムソンは護衛長としてワン・ユに仕えた右腕的存在です。
序盤から終盤までワン・ユと共にする忠臣であり、代々武官の家系ということもあり武術に長ける人物なんです。
ちなみに役と同名のチェ・ムソンさんという俳優も出演していますが、そちらはパク・ブルファという役を演じています。
ハ・ジウォンさんとは「チェオクの剣」でも共演していたクォン・オジュンさんは、その時も本作と同じ武術に長けた武将役を演じていましたが、「アラン使道伝」ではトルセというコミカルなキャラクターを演じていました。
プライベートでは夫婦仲が良いことでも知られていますが、バラエティー番組内で息子さんが希少疾患を患っていることを告白し話題となったようです。
タルタルは元の武将ペガンの甥であり軍師です。
タファンの側室候補となった主人公の学問の師でもあり、陰ながら助力してくれた人物ですが、のちにペガンが丞相となったことで主人公と敵対することになります。
しかし主人公との師弟関係は変わることなく、悩みながらも主人公側につきタファンを支えていくという非常に女性人気の高い人物なんです。
ミュージカル俳優としてデビューしたチン・イハンさんは本作でブレイクし、女性ファンからは“脳がセクシーな男”というキャッチコピーまで付けられました。
本作以降はユ・インナさん、ナムグン・ミンさんらと共に主演した「マイ・シークレットホテル」や「黄金のポケット」などに出演しています。
最新作は2023年のドラマ「オアシス」です。
元の丞相ヨンチョルの次男タプジャヘは元の武将です。タナシルリにとっては兄であり、父や兄に忠実に付き従います。
チャ・ドジンさんはチュ・ジンモさん主演の映画「愛サラン」でデビューした演技派俳優です。
本作で知名度を得てからはドラマ「星になって輝く」や「あなたは贈りもの」などで主要キャストの一人を演じるようになります。
最新作は日本の漫画が原作の同名2019年のドラマ「ザ・バンカー」で、2020年に入ってからは芸名を本名の“イム・ソンギュ”に戻してCMモデルなどを務めているようです。
韓国時代劇を代表する作品の一つ「奇皇后」について説明してきましたがいかがでしたでしょうか?
本作の主要キャストは現在も活躍されている方ばかりですが、特にチ・チャンウクさんとキム・ソヒョンさんの活躍ぶりは予想以上ですね。
この作品は韓国時代劇の王道要素を踏襲しながらも、元の属国だった高麗の時代背景や両国の関係性を上手くエンタメに落とし込んでいました。
お決まりの時代劇作品に飽きた人にこそ見てほしい作品です!