近年、日本はもちろんのこと韓国でもドラマの視聴率が低下していることはご存知でしょうか?そんな中で最高視聴率30%を超える高視聴率を叩き出し、3シーズンに渡って放送された人気ドラマがあるんです!
それが今回紹介する「ペントハウス」シリーズです。
かつては「製パン王キム・タック」や「笑ってトンヘ!」、「私の名前はキム・サムスン」などが最高視聴率50%超えというとんでもない視聴率を記録していましたが、近年の地上波ドラマは10%を超えればヒット作と呼ばれるまでの水準に下がっています。
そんな中でも高視聴率を記録したのがコロナ禍の日本でも流行った「愛の不時着」や「梨泰院クラス」といったドラマなんですが、これらの作品でも韓国での視聴率は20%前後というものでした。
しかし、「SKYキャッスル」や「夫婦の世界」といった作品はケーブルドラマ作品ながらも20%を超える高視聴率を記録しました。
そして今回紹介するドラマ「ペントハウス」もそれらと並び称される作品で、しかもこれはすべて“ドロドロ系愛憎劇”と呼ばれるジャンルのドラマなんです!
一昔前まで“ドロドロ系愛憎劇”=長編の昼ドラというイメージがありましたが、近年は16話構成という短いものが増えてきており、それらが次々と大ヒットしています。
今回はそんな“ドロドロ系愛憎劇”の中でも高い視聴率を記録したドラマ「ペントハウス」について紹介していこうと思います。
「ペントハウス」シリーズは、2020年10月から2021年9月までに3シーズン放送された超高級タワーマンションを舞台とした愛憎劇で、シリーズの平均視聴率は19%、瞬間最高視聴率31.1%を記録する大ヒット作となりました!
その内容は、不動産価値1位の高層マンションに住むセレブな住人たちによる欲望渦巻く愛憎劇であり、学歴と不動産バブルによる深まる格差社会をテーマとした近年の韓国ドラマ定番の設定を用いています。
そのマンションの住人たちは韓国の上位0.1%に属する最上流階級の人々なのに、自分よりも高層階に住む人々を妬んだり、子供の教育に関することで対抗意識を燃やしたりするんです。
これはマンションを現代社会の縮図として見立てたもので、人間の満たされない欲望をゴージャスな舞台と刺激的な設定により表現しているのかと。
このドラマには、愛憎、復讐、欲望、裏切り、不倫、格差、出生の秘密、サスペンス展開といった韓国ドラマお決まりの要素が全て詰まっていて、まさにマクチャンドラマのお手本といった内容なんですが、その制作費として約32億円が投入されました!
そして本作は高い視聴率を獲得したのみならず、2020年のSBS演技大賞をはじめとするシリーズ合計30冠受賞という高い評価も得ている作品で、実力派俳優たちによる演技合戦や、2023年現在人気のキム・ヨンデさんをはじめとする若手俳優たちの演技にも注目です。
以降はそんな大ヒットシリーズのあらすじと出演者たちについて紹介していきます。
声楽家になるという夢を諦め、不動産コンサルタントをしながら女手一つで娘を育てているオ・ユニは、わがままな客や手数料を払うことを渋る客などに振り回される日々を送っていました。
娘のロナはユニの反対を押し切って声楽家になるためにチョンア芸術高校を目指していましたが、ロナが声楽家となるために頼ったのは声楽講師のチョン・ソジンでした。
実はソジンこそがユニに夢を諦めさせた張本人で、ユニの高校時代の同級生だったソジンがユニの声帯に傷をつけたせいで声楽家になる夢を絶たれていたのです。
そうとは知らないロナがソジンにレッスンを頼んだことで二人は再会することに。その後、ユニはロナの夢を後押しすることを決断し、ロナは無事に芸術高校の声楽科に合格します。
それから2ヶ月後、ソプラノ歌手で声楽講師としても有名なソジンをはじめ、ヘラパレスの最上階で暮す財閥家生まれのシム・スリョンや、その夫で建築会社代表のチュ・ダンテなどが暮す超高級タワーマンション・ヘラパレスでパーティーが開かれることに。
その夜、ある少女が高層階から転落するという事件が起きるのですが、その事件にはヘラパレスに暮す住人たちが関わっていて…。
魑魅魍魎な愛憎渦巻くヘラパレスを舞台に繰り広げられるドラマの出演者を紹介していきましょう。
ヘラクラブという入居者たちの集まりのクイーンとして知られるシム・スリョンは、韓国トップクラスのセレブたちが暮す超高級タワーマンション・ヘラパレスの最上階にあるペントハウスの住人です。
財閥家生まれのスリョンは不動産業界の鬼才と呼ばれるチュ・ダンテと結婚していますが、全てに完ぺきを求めるダンテとの夫婦関係は冷めきっており、互いに秘密を抱えています。
そんなスリョンを演じるのは、2023年のドラマ「パンドラ 偽りの楽園」で本作の脚本家と再タッグを組んでいるイ・ジアさんです。
イ・ジアさんは2007年の大ヒットドラマ「太王四神記」でペ・ヨンジュンさんの恋人役をオーディションで勝ち取りデビューしたことで知られています。
その後も「ベートーベン・ウィルス」「ATHENA -アテナ-」「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」などのヒット作に出演し、2024年1月31日から放送予定の最新作「最高の解決士」では韓国最高の離婚解決士役を演じます。
韓国最高のソプラノ歌手でチョンア財団理事長の娘という最高の肩書を持つチョン・ソジンは、生まれつきの富裕層で常に自分が世界の中心でなければ気がすまないというわがままな女性です。
しかし、自分よりも上層階に住むシム・スリョンをライバル視し、スリョンの夫を誘惑するだけでなく、高校時代の因縁の相手ユニと再会したことで人生が大きく変わることになります。
そんなソジンを演じたキム・ソヨンさんは、大ヒットドラマ「イヴのすべて」でブレイクしたことで知られていますが、それ以来となる悪役演技を披露し、“キム・ソヨンの再発見”と呼ばれるほどの高評価を得ました。
この他にも、「IRIS-アイリス-」「検事プリンセス」「抱きしめたい〜ロマンスが必要〜」「純情に惚れる」といった作品に出演していますが、もう一つの代表作である「ハッピー・レストラン〜家和萬事成〜」で共演したイ・サンウさんと結婚されたことでも知られています。
高校時代にソプラノ歌手として有望視されていたオ・ユニは、現在は一人娘のロナを育てながら不動産コンサルタントとして働いています。
ロナも声楽家を目指しているのですが、よりにもよってユニの夢を潰したチョン・ソジンのレッスンを受けようとします。
この再会によりユニはロナの後押しをすることと、ヘラパレスに入居することを決意します。
そんなオ・ユニを演じるのは、韓国アイドル第一世代グループS.E.S(エスイーエス)のメンバーから女優に転身したユジンさんです。
S.E.Sは韓国で本格的に成功した初の女性アイドルグループで、今日のK-POPブームの礎を築いたグループとして知られています。
俳優としては大ヒット作「製パン王キム・タック」や「百年の遺産」のヒロイン役を務め、2017年にはデビュー20周年を記念してグループが再結成され大きな話題となりました。
スリョンの夫チュ・ダンテは、不動産業界の鬼才とも呼ばれる建築会社の代表です。
舞台となるヘラパレスもダンテのビルで、江南の中核や高層ビルをいくつも所有しています。
そんな有能かつお金持ちなダンテですが、強迫観念が強く完璧主義者的気質もあるため家族に対しても厳しく世間体も気にしています。実はある人物と不倫を…。
ミュージカル界のトップスターとしても知られるオム・ギジュンさんは、数多くのドラマにも出演し、悪役イメージの強い俳優です。
ドラマでの人気が高まったのは「女の香り」や「ファントム」へ出演してからで、チソンさんと共演した「被告人」は一人二役を熱演し高い視聴率を獲得しました。
そんなオム・ギジュンさんは、本作での悪魔のような悪役ぶりが凄いと話題を集めましたが、2023年11月に放送が終わったばかりの最新作「7人の脱出」も本作と同じ制作陣による作品ということで注目されました。
ちなみに「7人の脱出」シーズン2は2024年に放送予定となっています。
ド派手な成金のカン・マリは、金に汚く計算高い女性です。
金持ちを批判するものの、格上であるソジンには媚を売り、貧しい人たちを見下しては家政婦や運転手相手にストレスを発散しています。
しかし、一人娘のユ・ジェニーのことは溺愛し、娘のためなら犯罪も厭いません。
そんなマリを演じるシン・ウンギョンさんは、実は80年代より活動するベテランで幅広いジャンルで活躍する演技派女優です。
代表作には主演作「白い嘘」「家族の秘密」や、ヒット作「皇后の品格」などがあり、オム・ギジュンさんと共に「7人の脱出」にも出演しています。
ソジンの夫でチョンア医療院外科長のハ・ユンチョルは、処世術に長けた人物です。
金と権力に対する欲望は強いのですが娘のことを大切に思う一面もあり、夫婦仲はとっくに冷え切っているものの娘のことを思って仮面夫婦生活を続けています。
実は今でも初恋相手であるユニに想いを寄せています。
そんなハ・ユンチョルを演じるユン・ジョンフンさんは、「応答せよ1994」や「ミセン-未生-」への出捐で人気となり、それ以降様々な作品でバイプレイヤーとして活躍してきました。
2018 年の「マイ・ヒーリング・ラブ〜あした輝く私へ〜」ではヒロインの夫役として初の主演を務め、そして本作では“病弱セクシー“と呼ばれ人気急上昇となります。ちなみに「7人の脱出」にも出演しています!
法律事務所の離婚専門弁護士のイ・ギュジンは、アナウンサー出身の妻を持つ法曹財閥家の1人息子です。プライドの高いエリートですが、幼い頃より母の言う通りに生きてきたマザコンで、いつも母と二人の姉にお伺いを立てて1人では何も決められません。
妻はそんな夫の犠牲になっており、母親や姉たちが妻をいじめても知らないフリをしています。
そんなギュジンを演じるポン・テギュさんは、様々な映画やドラマに出演する個性派俳優です。
キム・レウォンさん主演の2003年のドラマ「屋根部屋のネコ」で人気となったテギュさんは、2018年の「リターン-真相-」でも短気で暴力的な悪人を演じていました。
今回は自分では何も決められない決定障害の悪人という、幼稚さと狂気を併せ持つコミカルなキャラクターが話題となりました。
最新作はイ・ジアさん、イ・サンユンさん主演の2023年のドラマ「パンドラ 偽りの楽園」です。
いかがでしたか?
シーズン1はセレブたちのドロドロな愛憎劇と少女の転落死の真相について描くものでしたが、回を追うごとにサスペンス要素が強まり、数年後を描いたシーズン3では悪人たちへ復讐を果たす展開となってきます。
このハラハラドキドキの展開と、どこか懐かしいマクチャン要素はもはやエンタメ作品と言えるレベルで、回を追うごとにどんどん刺激強めになっていきますが、一度ハマってしまうと抜け出せ無い中毒性がこのドラマにはあります!