皆さんは韓国ドラマ界にある「ベストカップル賞」をご存知でしょうか?
韓国ではドラマを放送する各局をはじめ、その年のドラマに対しての賞レースがいくつもあるのですが、その年話題となった作中カップルに送る賞が「ベストカップル賞」なんです。
ちなみに韓国ドラマを語る際に度々登場するワード“ケミ”とは、化学を意味するケミストリーの略語で、人間関係における化学反応だったり、男女間における相性といった意味合いになります。
つまり、“最高のケミ!”というのは相性の良いカップルという意味ですね。
ベストカップル賞受賞=面白いドラマというわけではありませんが、ドラマを楽しむ上での一つの指標となっているので、今回はベストカップル賞を受賞したドラマを6タイトルほど紹介したいと思います。
近年の韓国ドラマにおけるベストカップルといえば、撮影後に本当の恋人となり夫婦となった「愛の不時着」のヒョンビンさんとソン・イェジンさんを思い浮かべる人が多いかもしれません。
それでは、以降はチョイスした6タイトルを紹介していきます。
最初に紹介するのは、2023年に2パートに分けて放送され視聴率&話題性1位となったヒューマンロマンス時代劇「恋人」です。
17世紀に清が朝鮮に侵略してきた丙子の乱と呼ばれる戦争を背景に、戦争により引き裂かれた恋愛模様や争乱の中でも強く生きようとする民衆たちの姿を描いています。
脚本家曰く、小説「風と共に去りぬ」からインスピレーションを得た作品とのことで、ナムグン・ミンさんが10年ぶりに時代劇に出演した作品ということも話題となりました。
この作品で2023 MBC演技大賞の大賞を受賞したナムグン・ミンさんと、最優秀演技賞を受賞した「賢い医師生活」シリーズで知られるアン・ウンジンさんは、初共演にしてベストカップル賞を受賞し、作品自体も今年のドラマ賞を含めた8冠獲得の快挙となりました。
永遠の愛など信じていなかった謎の男と、初恋の相手との結婚を夢見る良家のお嬢様は、戦乱のさなかで出会い、やがて惹かれ合っていきます。
ヒロインを一途に愛し守り抜こうとするナムグン・ミンさん演じる主人公のヒロインに対する甘いセリフや優しさは非常に情熱的で、戦場で勇敢に戦う姿とのギャップが見どころとなります。
次に紹介するのは、名作ドラマとして名高い2019年放送の「椿の花咲く頃」です。
田舎町に引っ越し、女手一つで幼い息子を育てるシングルマザーの主人公が、偏見や差別に負けることなくスナックを経営し、やがて町の人々との信頼関係を築いていくというヒューマンドラマであり、その町に赴任してきた熱血漢の青年警官とのロマンスや過去に起きた連続殺人事件などがコミカルかつサスペンスフルに描かれていきます。
最高視聴率23.8%を記録した地上波ドラマとして2019年最高のヒット作であり、その年のKBS演技大賞では、コン・ヒョジンさんが大賞を受賞した他、コン・ヒョジンさんとカン・ハヌルさんの二人がベストカップル賞を受賞するなど計12冠に輝きました。
更にこの作品は、韓国のゴールデン・グローブ賞と呼ばれる第56回百想芸術大賞で、あの「愛の不時着」や「梨泰院クラス」を抑えてTV部門の最高賞である大賞を受賞しました。
町に来て数年が経ってもどこか浮いた存在のままの主人公は、町の男たちからはチヤホヤされるものの地元の女性たちからは快く思われずイジメられていました。
そんな中、まわりのことなどお構いなしに主人公にアプローチしていく一途な警官が現れたことで、主人公や町の住人たちに変化が訪れます。
人との関わり方が下手な主人公が、誠実で情に厚く、何事にも一直線な青年と出会ったことで次第に心を開いていくようになります。
良い意味で韓国ドラマらしくなく、とても素直なラブストーリーなのに好感が持てる個人的にも大好きなドラマです。一方で、誰が犯人なのか最後までわからないというサスペンスでもあるのに、ラストはコミカルかつハートフルな締め括りとなるという最高かつ予想外の展開を見せたのも魅力となります。
“都会から田舎町に移住してきた系ドラマ”の代表的な作品ですね!
次のドラマもカン・ハヌルさん主演作!
余命僅かな祖母の願いを叶えるために史上最大の詐欺を企む男と、その男に恋した女性やその詐欺に関わる人々のドラマを描いた作品です。
朝鮮戦争で夫と息子と生き別れになった北朝鮮出身の大手ホテルチェーン創業者のために、無名の舞台役者が孫のふりをするという大芝居を依頼されます。
そんなことは知らない孫娘は、次第に彼に惹かれていくのですが、元婚約者の財閥御曹司も現れて三角関係に発展していくことに。
加えて、後継者争いや本物の孫の存在も描かれるなど、見どころ満載の作品となっています。
2022KBS演技大賞でベストカップル賞を受賞した他、最優秀演技賞、人気賞、助演賞、新人賞と5部門6冠を獲得しました。主演のカン・ハヌルさん、ハ・ジウォンさん以外にも、クォン・サンウさんや期待の若手女優チョン・ジソさん、名バイプレイヤーのソン・ドンイルさん、ベテラン俳優コ・ドゥシムさんなど、豪華キャスティングも魅力の作品です。
余命僅かなホテルチェーン創業者の事を思って、長年探し続ける家族との再会を叶えようと主人公に孫のふりをしてほしいと依頼したところからはじまる本作は、ノスタルジックさもある温かい家族ドラマであると共に、勘違いからはじまるロマンスやクスッと笑える要素もある家族で楽しめる内容になっています。
例えるなら朝ドラをぐっと圧縮したかのような、韓国ドラマによくあるドロドロ展開でないのも好みですね。
祖母が創業したホテルを残したいヒロインと、その協力者となり得る突然あらわれたいとこだという男との偽物の関係は、果たして本物となるのか!?
2016年から2017年にかけて放送された「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」は、当時のケーブルテレビドラマ最高視聴率20.5%を記録し社会現象を巻き起こした作品です。
900年以上も不滅の命を生きるトッケビと、トッケビの胸に刺さった剣を唯一抜き消し去ることが出来るトッケビの花嫁との切ないロマンスを描くファンタジー作品で、昨今のファンタジーロマンスブームの先駆けとなった作品となります。
百想芸術大賞のTV部門大賞やKOREA DRAMA AWARDの作品賞など、2017年度の各賞を多数受賞しており、ドラマフィーバーアワードではベストカップル賞も受賞しています。
さらにこのドラマには、イ・ドンウクさんとユ・インナさんが演じた死神とサニーというもう一組のベストカップルが存在しており、この二人を影のベストカップルと呼ぶ声も多くみられました。
二人はのちにドラマ「真心が届く〜僕とスターのオフィス・ラブ!?〜」で再共演し話題となりました。
不死の呪いから開放されたいトッケビと、歳の離れた彼を無邪気にからかう天真爛漫なヒロイン。
彼の願いを叶えてあげたい気持ちはあるけれど、それを叶えると消えてしまうという悲劇。
そんなファンタジーな設定なんですが、号泣必死の純愛ドラマになっているのが魅力なんです。
さらに、過去に縁のある死神とサニーの切ないロマンスやトッケビと死神のラブロマンスなどもあり、実際のところ三組のベストカップルが存在したと言っても過言ではありません!
2022年に放送された「ビッグマウス」は、勝率わずか10%という三流弁護士が、偶然任された殺人事件に巻き込まれて、一夜にして天才詐欺師ビッグマウスとなってしまうという犯罪ミステリードラマです。
濡れ衣を着せられ刑務所に入れられた弁護士が、過酷な目に遭いながらも刑務所で成り上がり、そして自分に罪を着せた者たちへ復讐していくという痛快エンタメ作品でもあります。
この作品で夫婦役を演じたイ・ジョンソクさんとユナさんがMBC演技大賞のベストカップル賞を受賞した他、イ・ジョンソクさんが大賞、ユナさんが最優秀演技賞、ドラマ自体も作品賞を受賞しています。
ビッグマウスと呼ばれる天才詐欺師と勘違いされたことをきっかけに、本物の詐欺師かのように変わっていく弁護士と、そんな夫を信じて支え続ける妻との絆の強さはカップルというよりもバディに近いものかもしれません。
本作はラブストーリーではないので、二人で一緒に過ごすシーンを見てのベストカップルというものではなく、強い精神的な繋がりが評価された受賞なのかと。
2021年に放送された「恋慕」は、男装女子を主人公としたフュージョンロマンス時代劇です。
亡くなった双子の兄の代わりに男装して世子となる主人公と、主人公の師匠として側で支える側近との宮廷ロマンスという内容で、報われぬ切ないロマンスや韓国時代劇王道の権力闘争が描かれます。
男同士なはずなのに何故かドキドキするといったBL要素や、少女漫画的な設定もてんこ盛りで、韓国時代劇としては珍しい愛憎劇要素の薄い作品になっています。
2021KBS演技大賞でベストカップル賞を受賞したロウンさんとパク・ウンビンさんですが、この他にもパク・ウンビンさんが最優秀女優賞、二人揃って人気賞、ロウンさんは新人演技賞も受賞しています。
さらにこの作品は、韓国ドラマとして初めて国際エミー賞も受賞しています。
男装女子ものといえば、これまではラブコメ作品で多く見られる設定でしたが、本作では死んだ兄の代わりに王になるという壮絶な人生を背負った少女の切ないドラマになっています。
当初は男である世子相手にドキドキする側近とのコミカルなさのあるロマンスが描かれますが、後半からは権力闘争と正体がバレるかどうかというハラハラドキドキの展開となります。
世子としての凛々しい姿と女性らしい可愛らしい一面という相反するものを見事に演じたパク・ウンビンさんの演技力は必見です!
いかがでしたでしょうか?
この6タイトルのカップル以外にもベストカップルと呼ばれている組み合わせはあります。
もちろんベストカップル賞は受賞してなくとも個人的に好きな作品や思い入れのある作品のカップルが一番という方もいることでしょう。
そして「トッケビ」で紹介したような素晴らしい2番手カップルがいるのも楽しいですよね。