韓国で“茶母廃人(ダモペイン)”と呼ばれる熱狂的なファンを多数生み出し社会現象ともなった、「チェオクの剣」。
ワイヤーアクションやコンピュータグラフィックスなどの技術を多用した映像が特徴で、既存の時代劇の域を超えた“フュージョン時代劇”と評されました。
今回はスーパーアクション時代劇「チェオクの剣」の解説とともに、出演していた8人の俳優陣の現在までをご紹介いたします。
ぜひ最後までご覧ください。
舞台は17世紀末の朝鮮王朝時代、都の漢城。
物語の主人公、チャン・チェオクは良家に生まれ、優しい家族に囲まれて7歳までチェヒという名で幸せに暮らしていました。
しかし朝廷の実力者で人望もあった父が謀反の濡れ衣を着せられ、家族は離散。
兄・チェムと共に追っ手から逃げますが、混乱の中で兄とも生き別れ、捕らわれたチェオクは官婢となり、そこで才能に恵まれながらも側室の子として不遇の日々を過ごしていた少年、ファンボ・ユンと出会います。
他人とは思えず、兄妹のように育ち、お互いを思い合うようになるチェオクとユン。
しかしふたりの間には決して越えることのできない身分の差という壁があるのです。
ふたりは山にこもり、伝説の武人・スウォルの元で厳しい修行に耐えながら武術を磨き、やがて大人になったユンはその武術を認められて左捕盗庁(チャポドチョン)の従事官(チョンサガン)に抜擢される。
チェオクはチェヒから名を変え、左捕盗庁のお茶汲みなどの下働きをする“茶母”となってユンに仕えることになります。
チェオクはその聡明さと優れた武術を生かし、犯罪捜査の第一線で活躍するようになります。
そんな中、にせ金事件を発端に盗賊団との攻防が始まることに…
しかしそれはただの盗賊団ではなく、朝廷の大物も関与して国家転覆を図る反乱軍だったのです。
偶然、ユンの上司であるチェ・セウク長官の娘、チョ・ナニが“ユンのことが好きで結婚したい”と話しているのを聞いてしまったチェオクは、ユンへの想いを断ち切るために、盗賊団に潜入する捜査官として名乗り出ます。
密偵として敵にもぐりこんだチェオクは、盗賊団のリーダー、チャン・ソンベクと出会い、切っても切れない“縁”故に、次第に惹かれ合います。
しかし立場は敵同士、その後何度となく剣を向け合うこととなりますが、お互い相手を斬ることができません。
その後捕盗庁と反乱軍との攻防の中、セウク長官自ら命がけでおとりとなり、ユンはついに反乱軍の黒幕である朝廷の大物のしっぽを掴みます。
一方の反乱軍もついにクーデターを決行することになります。
物語はクライマックスへと進むにつれ、チェオク・ユン・ソンベク、三人の運命の歯車は悲しい結末へと動き出してゆくのです。
本作の見どころのひとつは、なんといってもワイヤーアクションやコンピュータグラフィックスなどの技術を駆使した迫力満点のアクションシーンです。
主人公チェオクを演じたハ・ジウォンさんも自らワイヤーアクションに挑戦しています。
キャスト陣の本気が垣間見える、アクションシーンにぜひご注目ください。
そしてなんといっても運命の歯車に翻弄されるチェオク・ユン・ソンベクの三角関係からも、目が離せません。
チェオクとユンのどれだけ思い合っていても、身分差によって一緒になることのできないもどかしさと切なさ、そしてチェオクとソンベクの切っても切れない“縁”の秘密…最後まで涙なしでは見れません。
ここからは社会現象を巻き起こし、女優賞、男優賞を受賞するなど韓国で爆発的人気を博した大作「チェオクの剣」を彩った8人の俳優陣をご紹介していきます。
左捕盗庁茶母でお茶汲みなどの下働きが本職だが、聡明さと武術の腕を買われ、武官の中でも仲間の一員として認識され、事件捜査など刑事としても活躍するも、悲しき運命に翻弄され続ける主人公、チャン・チェオクを演じたのは、多くの作品で華麗なアクションをこなすなど、アクション女優としてのイメージも強いハ・ジウォンさんです。
ドラマデビュー後、オーディションによって映画「真実ゲーム」のヒロインを射止め、大御所アン・ソンギに負けない存在感を放ち新人女優賞を獲得しました。
その後、ホラー映画に続けて出演し、“ホラークイーン”と呼ばれることも。
また、高視聴率を記録し“バリラバー”と呼ばれるファンを生み出した、愛憎劇ドラマ「バリでの出来事」で図々しく卑屈で、従来のヒロイン像とは異なる現実的な女性を演じたり、
実在したとされる妓生を演じたドラマ「ファン・ジニ」や
動員数1000万人を超えるヒット作となった映画「TSUNAMI-ツナミ-」、
高視聴率を記録し大ヒット作となったドラマ「シークレット・ガーデン」、
そして歴史を歪曲したとの批判を受けて放送をスタートするも、高視聴率を記録したドラマ「奇皇后」
など幅広いジャンルでヒロインを演じ、その演技力の高さと、妥協を許さずスタントなど過酷な撮影も自ら挑戦する姿が高く評価され続けています。
日本でもファンミーティングを開催するほど人気の高い女優さんです。
ハ・ジウォンさんは、共演してきた俳優さんとの熱愛の噂は多々ありましたが、あまり結婚願望がないそうで、2022年9月現在も独身です。
また、映画「雨光」が韓国で公開し、10月からはドラマ「カーテンコール:木は立って死ぬ」の放送が始まります。
ファンの間で“ヘッニム(おひさま)”という愛称で親しまれるハ・ジウォンさん。
今後の出演作も目が離せませんね。
“天下一”と言われる武術の達人で、忠義に厚く、かつ冷静沈着な部分を併せ持っており、部下にも慕われる敏腕の左捕盗庁従事官で、チェオクを想い続けるファンボ・ユンを演じたのは、知的なイメージで様々な役をこなす人気俳優イ・ソジンさんです。
イ・ソジンさんは日本でも人気のあるドラマ「星を射る」や
「火の鳥」、
「イ・サン」に出演し、人気を博しました。
また、バラエティ番組にも多々出演しており、人気シリーズ『花よりおじいさん』や
『三食ごはん』では、俳優活動時の知的なイメージとはまた違った親しみやすい姿を見せています。
また、2022年5月に放送された『思いがけない旅程』という番組の企画で女優ユン・ヨジョンさんの“1日マネージャー”を務め、
ロサンゼルスで開かれた第94回アカデミー賞授賞式に参加した様子が描かれました。
そのレッドカーペットでの一幕、授賞式に参加した女優のジェイミー・リー・カーティスさんがレッドカーペットで写真を撮るため一面識もないイ・ソジンさんに自身のハンドバッグを預けたことで、韓国の一部ネットユーザーが“無礼だ”、“同じ授賞式に来た人をポーターのように扱った”など不快感を示し、話題となりました。
そんなイ・ソジンさんですが、2022年11月から放送予定のドラマ「芸能マネージャーとして生き残る」でマネージャー役として出演します。
“1日マネージャー”もイ・ソジンさんにとっては、いい役作りの一環となったのではないでしょうか。
「芸能マネージャーとして生き残る」はフランスの国民的ドラマ「エージェント物語」をリメイクしたもので、世界的に注目を集めています。放送が待ち遠しいですね。
民の苦しみを思い、民のための国をつくることを目指している革命家であり、チェオクが潜入する盗賊団の頭領チャン・ソンベクを演じたのは、本作がドラマデビューで知名度があがったキム・ミンジュンさんです。
キム・ミンジュンさんはもともと柔道選手を夢見るスポーツマンでした。
しかし怪我のためにその夢をあきらめ、モデルを目指して再出発し、芸能界へ。
スポーツを通して培った体力、精神力は演技の中でも発揮され、カリスマ溢れる魅力が多くの女性たちを夢中にさせ続けています。
「チェオクの剣」出演後も「アイルランド」、
「プラハの恋人」と立て続けにヒットドラマへの出演を果たし、大ブレークし、その後も韓国芸能界の第一線で活躍しています。
プライベートでは2019年にファッション系事業家で人気アイドルグループ“BIGBANG”のG-DRAGONさんの実姉、クォン・ダミさんと結婚し、2022年2月には第一子が誕生し幸せいっぱいのキム・ミンジュンさん。
そろそろ次回作のお知らせもほしいですね。今後の俳優活動も楽しみに待ちましょう。
上の者に媚び、下の者に乱暴なお調子者だが、本当は情に厚く、チェオクをかわいがる左捕盗庁部将、ペク・チュワンを演じたのは、数多くのヒット作に出演し、若手を支えるベテラン俳優イ・ハヌィさんです。
1983年に芸能界にデビューを果たしたイ・ハヌィさん。長きにわたりドラマや映画に出演し続けており、日本でも人気を博した「冬のソナタ」や
「花ざかりの君たちへ」、
「女神降臨」など挙げきれないほど数多くの作品に出演し、脇を固めてきました。
2022年9月現在、61歳のイ・ハヌィさんですがInstagramuを活用しており、
番組共演者との写真など近況を垣間見せてくれています。
是非チェックしてみてください。
武術に優れ、ユンが育てた左捕盗庁自慢の精鋭部隊を率いており、態度は荒っぽいが、現場では部下を率いる冷静なリーダーの一面もあるイ・ウォネを演じたのは、真面目な性格に見えますが、実はかなりお調子者で笑わせてくれる俳優のクォン・オジュンさんです。
数多くの作品で脇役を務める印象の強いクォン・オジュンさん。実は“主演恐怖症”だったそうで、これまで幾度となく主演オファーを受けてきましたが、断ってきたそうです。
本作「チェオクの剣」も実は主役のオファーを断って、イ・ウォネという役を演じることになりました。のちに“自分が主役を演じていたら、ドラマがヒットすることはなかっただろう”と話すほどでした。
しかし、2008年に放送したドラマ「食客」で、家族の支えもあり“主演恐怖症”を克服し、遂に主役を演じました。
クォン・オジュンさんの熱演が功を奏してか、「食客」は高視聴率を記録するヒットドラマとなりました。
クォン・オジュンさんは26歳で6歳年上の奥様と結婚し、息子さんもいます。
“主演恐怖症”だったクォン・オジュンさんを励まし続けた奥様とは、夫婦生活約25年以上ということですが、一緒に寝るほど仲良しでラブラブだそうです。
また、息子さんは難病にかかっていると告白、息子さんを思い涙ぐむクォン・オジュンさんも印象に残ります。
チェオクのことが大好きで、いつも追いかけ回しているアン・ビョンテクを演じたのは、映画やドラマで素晴らしい演技力や独特の個性で、シーンを圧倒する役者を意味する“シーンスティラー”として活躍を続けるシン・スンファンさんです。
2001年にドラマ「ピアノ」でデビューしたシン・スンファンさんは、
ドラマ「ジャイアント」や
「モンスター~その愛と復讐~」、
「浪漫ドクター キム・サブ」、
映画「ベテラン」や
「共謀者」、「軍艦島」など、ドラマと映画を行き来しながらシーンスティラーとして活躍してきました。
また、個性あふれる才能は俳優だけにとどまらず、2020年にはドキュメンタリー映画「Can You Hear Me?」で監督デビューを果たし、多彩多能な姿を見せました。
また2021年に放送し、日本でも話題を呼んだ人気ドラマ「ヴィンチェンツォ」に特別出演し、
主演のソン・ジュンギさん、チョン・ヨビンさんと息を合わせ、個性溢れる魅力はもちろん、作品の魅力を倍加させて面白さを高めました。
2022年もドラマ「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」や映画「狼たちの墓標」で独特の個性を発揮し活躍中です。
多彩なシン・スンファンの今後の活躍に期待が高まります。
忠義の士であり、王の信頼も厚い捕盗大将でユンの上司であるチョ・セウク長官を演じたのは、演技派俳優としてコメディから重厚な時代劇まで非常に幅広い演技で韓国ドラマのお父さん役でおなじみのパク・ヨンギュさんです。
劇団員だったパク・ヨンギュさんは、1985年のドラマ「緑の帽子」でソ・ガプスクさんと夫婦役を演じ、自然で深みのある演技で人気を博します。
その後、1998年に放送した大ヒットドラマ「順風産婦人科」にミダルのパパ役でのコミカルな演技が愛され、ミダリパパは国民的なキャラクターとなりました。
波乱万丈な人生を歩んできたパク・ヨンギュさん。
2019年には当時66歳で4度目の結婚を発表し、話題を呼びました。
また開始早々視聴率25.7%を獲得したドラマ「愛はビューティフル、人生はワンダフル」で主人公の父親役を務め、まだまだ活躍を続けるパク・ヨンギュさん。
今後の活躍も楽しみです。
大商人であり、ソンベクらと反乱軍の黒幕をつなぐ役割を果たしているチェ・ダルピョンを演じたのは、“チョン・ホグンが悪役を演じたドラマは成功する”と言われ“悪役専門俳優”を称されるチョン・ホグンさんです。
2004年に放送されたドラマ「海神」や
2007年放送のドラマ「ニューハート」など、強烈な悪役を演じることが多く、
2013年に放送したドラマ「グッド・ドクター」では、
主人公を幼い頃に虐待した父親役を演じました。
また、2015年から俳優業と並行して占い師としての業務をスタートさせました。
祖母が巫女だったため幼い頃から宗教的な関心は高かったチョン・ホグンさん。
体調不良が“神病”であると巫俗人に言われたことがきっかけで自らもその道に進むことになりました。
いかがだったでしょうか。
今回は社会現象ともなったフュージョン時代劇「チェオクの剣」と人気実力ともに安定感のある8人の出演者についてご紹介しました。
時代に翻弄されるチェオクの人生は涙なしには見れません。泣きたいときに「チェオクの剣」を見てみるのはいかがでしょう。