平均視聴率32%と瞬間最高視聴率41.9%を記録し、韓国時代劇の歴史を変えた大ヒットアクションドラマ「推奴~チュノ~」。
従来の韓国時代劇のように、歴史上の英雄たちを主人公として描いた作品とは異なり、身分制度に苦しむ下層階級の悲哀にフォーカスした異色のドラマとして脚光を浴びました。
奴婢を追う狩人の推奴、奴婢に転落した朝鮮最高の武将、そしてその2人が愛した女奴婢の物語が壮大なスケールで展開されます。
今回は、韓国時代劇の歴史を変えた名作「推奴~チュノ~」のあらすじとともに、7人の出演者の現在をご紹介します。
「推奴~チュノ~」はどんなドラマ?
舞台は清国が朝鮮に侵入した動乱、「丙子の乱」から8年後の朝鮮仁祖26年。
「丙子の乱」の際、清に人質に捕えられた次期国王の昭顕世子が8年ぶりに朝鮮に帰ってきますが、1ヶ月のうちに謎の病気のため息をひきとった混乱の時代でした。
その頃、民の半分が奴婢の境遇に転落し、差別と虐待に耐えられなく逃亡した奴婢らが続出します。
このような逃亡奴婢らを追跡し懸賞金を狙う狩人たちを“推奴師”と呼びました。
裕福な貴族階級・両班の家に生まれたイ・テギルは、召使で奴婢のオンニョンと密かに愛を育んでいました。
しかし、奴婢の身分に我慢できなくなったオンニョンの兄、クンノムが火を放ち、オンニョンを連れ逃亡します。10年が経ち、テギルはクンノムとオンニョンを捜し回るうちに、奴婢を追う推奴師になっていました。
一方、かつて朝鮮最強の武将と言われたソン・テハは、友人の裏切りにより奴婢になってしまいます。
そしてある日、「丙子の乱」の際に清国に人質として捕えられ、苦労を共にした次期国王・昭顕世子からの手紙を受け取り、昭顕世子の息子・石堅を朝廷の陰謀から守るために逃亡奴婢となることを決意します。
逃げるテハは推奴師テギルに追われますが、同じく逃亡中のテギルの初恋の相手・オンニョンと出会い、行動を共にすることになります。
そして、この命を懸けた逃走が、後継ぎを巡る王朝の陰謀の渦へと巻き込まれていくことになるのです。
本作の見どころは、チャン・ヒョクさん、オ・ジホさんら俳優陣のほぼノースタントによる圧巻の武術シーンです。
チャン・ヒョクさんはジークンドー師範の腕前を持っており、瞬発力と足を生かしたキム・ジソクさん、見事な刀さばきを披露するイ・ジョンヒョクさんなど、まさに全編クライマックス。
息をもつかせぬアクションシーンとなっています。
そして、身分の差に翻弄され続ける3人の切ない恋模様には涙せずにはいられません。
「推奴~チュノ~」に出演していた7人の現在を紹介
ここからは韓国時代劇の真骨頂「推奴~チュノ~」を大ヒットへと導いた7人の俳優陣をご紹介していきます。
チャン・ヒョク/イ・テギル
使用人であり恋人であったオンニョンのことが忘れられず、彼女を探すうちに推奴師となったイ・テギルを演じたのは、重厚感のある演技と他を圧倒する存在感を放つ俳優のチャン・ヒョクさんです。
1997年に放送されたドラマ「モデル」でデビューし、2001年に公開した映画「火山高」で主演に抜擢され日本でも知られるようになりました。
その後も2004年公開の映画「僕の彼女を紹介します」や
2007年ドラマ「ありがとうございます」、
2013年に放送し最高瞬間視聴率50.2%を記録した大ヒットドラマ「IRIS2-アイリス2-:ラスト・ジェネレーション」など多くの人気作品で主演を果たしています。
また「推奴~チュノ~」の大ヒットをきっかけに、時代劇ドラマへの主演を多く務め、華麗な乗馬や殺陣で視聴者を魅了し“時代劇のカリスマ”と呼ばれています。
2021年に放送した政治ロマンスドラマ「最愛の敵〜王たる宿命〜」でも主演の1人を演じていますよ。
そんなチャン・ヒョクさんですが、2022年7月に自ら企画・出演したアクション映画「ザ・キラー:死んでもいい子」が韓国で公開されました。
ついに作品の企画をしたチャン・ヒョクさんは、「様々な作品での経験をひとつにした映画」だと語っています。
また、香港やハリウッドで活躍するアクション俳優ブルース・カーンさんとの共演にも注目です。
今後も俳優活動にとどまらず、もしかすると監督まで務めるかもしれませんね、幅広い活動に期待が高まります。
オ・ジホ/ソン・テハ
濡れ衣から奴婢身分に落ちた朝鮮最高の武将。
亡き昭顕世子との約束を守るため逃亡奴婢となり、へウォンに恋に落ちるソン・テハを演じたのは、爽やかな笑顔で女性たちを魅了し続ける俳優のオ・ジホさんです。
オ・ジホさんはファッションモデルとして活動していましたが、2000年に映画「美人」で主演俳優としてスクリーンデビューを果たしました。
デビュー当時は、演技力に欠けるという意見もありましたが、2003年に公開した映画「セックスインポッシブル〜男はみんな狼だ!〜」ではひょうきんでセクシーなキャラクターを見事に演じきり、180cmを超える長身に爽やかな笑顔で女性達の関心を一身に受け、着実に人気俳優の道を歩みはじめました。
その後、2005年に放送したドラマ「新入社員 Super Rookie」や
2006年放送の視聴率20%超えの人気ドラマ「ファンタスティック・カップル」、
そして2009年に放送した視聴率30%を超えるヒットドラマ「僕の妻はスーパーウーマン」など数々の作品で主演を演じ、俳優としての地位を確立しました。
プライベートではイクメンっぷりが話題のオ・ジホさん。
2022年7月に事務所と再契約し、同年8月にスタートしたバラエティ番組『パーフェクトライフ』のMCに抜擢されました。
俳優活動の次回作も期待したいですね。
イ・ダヘ/オンニョン(キム・へウォン)
本作のヒロイン。イ家の使用人でしたがテギルとの恋が家主に知られ兄と逃亡することに。
のちにキム・ヘウォンと改名し、テハと出会うも切ない三角関係を生むオンニョンを演じたのは、“古典的な韓国美人”として人気の女優イ・ダヘさんです。
2001年に“春香選抜大会”でミス春香に選ばれ芸能界入りを果たし、2001年に放送された日韓合作ドラマ「Star’s Echo〜あなたに逢いたくて」で女優デビュー。
劇中では得意の韓国舞踊も披露しています。
その後、演技力を磨いたイ・ダヘさんは、2004年には演技大賞を受賞します。
また、2006年に放送したドラマ「マイガール」ではコミカルな演技を見せ話題に。
その後も「エデンの東」や
「ミス・リプリー」など話題作で次々と主演を果たしました。
現在は韓国・中国で活躍しているイ・ダヘさん。
2022年9月現在38歳ですが、先日自身のInstagramでビキニ姿を披露し、くびれたウエストに加えてグラマラスなボディと完璧な脚線美で視線を引き付けました。
また、2016年から2022年現在も公開恋愛を続けている歌手のSE7ENさんとは、交際報道から7年経った今なおラブラブなご様子。
そろそろ幸せな報告が聞けるかもしれませんね。
ハン・ジョンス/チェ将軍
テギルの兄弟分として行動を共にする推奴師。
武科の科挙に複数回受験する過去から、テギルに将軍とあだ名をつけられ、それが呼び名となったチェ将軍を演じたのは、鍛え抜かれた肉体美が魅力の遅咲きの名優ハン・ジョンスさんです。
俳優として活動しているハン・ジョンスさんですが、実は1996年に男性デュオの“デミックス(De-mix)”で歌手デビューしています。
しかし、残念なことに活動はメンバーとの意見の相違から長続きしませんでした。
デュオ解散後に、友人の紹介で劇団に入団。
1999年にソウル芸術大学の演劇科に入学しています。俳優としての正式デビューは、2003年に公開した映画「チューブ」でした。
31歳でデビューはしたものの、なかなか顔を知らせることができず、長い無名時代を過ごします。
ハン・ジョンスさんを世に知らせた「推奴~チュノ~」に出演したのはなんと38歳の時でした。
その後、2012年ドラマ「アラン使道伝」や
「アイアンマン」、「シークレット・ブティック」など、時代劇からラブロマンス、スリラードラマと幅広いジャンルの作品に出演を続けています。
現在、次回作の予定は発表されていませんが、「ロールモデルであるジョニー・デップのセクシーでファンタジーな役も似合う演技をしてみたい」と語っていました。
ハン・ジョンスさんが出演するファンタジー、いつか見てみたいですね。
キム・ジソク/ワンソン
テギルの強さに心酔し弟分となり、テギルとチェ将軍と共に行動する元コソ泥の推奴師ワンソンを演じたのは、学士学位も取得しているインテリでイケメン俳優に君臨するキム・ジソクさんです。
俳優になるために芸能界入りしたキム・ジソクさんですが、当時アイドルグループ旋風もあり、2001年に“Leo”のメンバーとしてデビューしました。
俳優としてはエキストラ出演から始まり、2004年のシットコム「お嬢さんとおばさんの間」への出演を機に本格的に俳優に転身しました。
その後、2007年に放送され40%を超える視聴率を記録したファミリードラマ「憎くても可愛くても」で主人公を演じお茶の間に広く知られ新人賞を受賞します。
また2009年には、数々の映画賞を総なめし大ヒットした映画「国家代表!?」では主要キャストを演じて共同演技賞を受賞するなど若くして人気も実力も評価されました。
その後も2012年には除隊後の復帰作となった映画「二つの月」でホラー作品に初挑戦したり、
2017年にはドラマ「2度目のファーストラブ」と
「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン-」に主演し、現在も実力派俳優として人気を博しています。
絶え間なく作品に出演し続けているキム・ジソクさん。
2022年6月に放送が始まったばかりの「キス・シックス・センス」では、「愛の不時着」で北朝鮮の令嬢ソ・ダン役を演じて日本でも注目を集めたソ・ジヘさんと、ユン・ゲサンさんとともに大人の三角関係を熱演しています。
“キスで未来が見える”ファンタジーとオフィス・ロマコメが融合した新感覚のドラマになっていますよ。
キム・ハウン/ソルファ
女独りで世をくぐり抜けてきたテギル一味の紅一点で、テギルに一途なお調子者ソルファを演じたのは、美人女優のキム・ハウンさんです。
キム・ハウンさんは2004年にKBSタレントとしてデビューし、2007年に放送したドラマ「漢城別曲」でヒロインに抜擢されました。
その後2012年に放送された「武神」や
2013年の「チャン・オクチョン」、
キム・ジソクさんが主演した「逆賊-民の英雄ホン・ギルドン」など時代劇ドラマには欠かせない俳優のひとりとなります。
2015年に放送したドラマ「ミス・マンマミーア」では若い頃に離婚したことを恥じるバツイチのボンスク役を熱演し、幅広い役をこなしてきました。
現在ファッションのオンライン販売を行う会社のCEOを務め、実業家として活動しており芸能活動は控えめなようです。
キム・ハウンさんの演技がまた見れる日を待ちましょう。
イ・ジョンヒョク/ファン・チョルン
テハに対し憧れと憎しみが入り混じったコンプレックスを抱き、やがてテハを追う刺客となるファン・チョルンを演じたのは、日本のドラマファンにもお馴染みの、実力派俳優イ・ジョンヒョクさんです。
イ・ジョンヒョクさんは舞台、映画、ドラマで10年以上にわたって主役と脇役を務めた後、2012年に放送し、最高視聴率23.5%を記録したヒットドラマ「紳士の品格」でブレイクします。
近年も話題作への出演は止まらず、2019年にイ・ユリさんとオム・ジウォンさん2大女優のW主演で話題を呼んだドラマ「ハルハル〜私はあなた?あなたは私?〜」や
2021年にはバディ&青春劇「警察授業」、
ミステリードラマ「ザ・ロード:1の悲劇」などに出演。現在も第一線で活躍しています。
そんなイ・ジョンヒョクさんとともに今話題を集めているのが、2013年に放送されたバラエティ番組『パパ、どこ行くの?』の出演で視聴者に大いに愛された、イ・ジョンヒョクさんの長男のイ・タクスさんです。
2022年現在、成人を迎え父親似のイケメンに成長したイ・タクスさんは、父、イ・ジョンヒョクさんと同じ道を歩むべく奮闘しています。
イ・ジョンヒョクさんは先輩として厳しくも、父として優しく見守っているようです。親子共演が見れる日もそう遠くはないかもしれませんね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は韓国時代劇の歴史を大きく変え大ヒットを記録したドラマ「推奴~チュノ~」と実力派の7人の俳優陣についてご紹介しました。
韓国時代劇を語るには見逃せない一作です、是非この機会に見てみてはいかがでしょうか。
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