2022年1月に「今年12月31日をもって歌手活動休止」を発表した氷川きよしさん。突然の報告に、驚いた方も多いですよね。
長年演歌歌手として活躍してきた氷川さんですが、最近では今までのイメージとは違う、ジェンダーレスな姿を見かける事も増えました。そこに至るまでの間、氷川さんにどの様な心境の変化があったのでしょうか。
そこで、氷川さんの現在までの、仕事や私生活の変化を追ってみました。
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氷川きよしさんは1997年生まれ、福岡県出身のアーティストです。
2000年に「箱根八里の半次郎」で演歌歌手としてデビューし、その後も「大井追っかけ音次郎」や「きよしのズンドコ節」などのヒット曲を、次々に世に送り出します。
氷川さんといえば、キャッチ―な振付も印象的ですが、ズンドコ節の振りはなんと自分で考えたそうですよ。
スラリとしたスーツで歌う姿から、演歌会のプリンスと呼ばれ、『きーちゃん』の愛称で幅広い世代に親しまれました。
2008年の紅白歌合戦では若干31歳にして白組の大トリを務めあげ、2017年には9回目の「第50回日本有線大賞」受賞で歴代最多の記録を更新するなど、常に第一線で活躍し続けます。
活動は演歌のみに留まらず、氷川さんが幼い頃から憧れていたアニメ「ドラゴンボール」や「ゲゲゲの鬼太郎」の主題歌を担当し、子供世代の人気も集めました。
この事を機に、本当に自分がしたかった事を見つめ直したという氷川さん。2019年の週間新潮のインタビューでは、子供時代から感じてきた性別にとらわれた生き辛さを告白し、「これからは自分の心に素直に生きて行きたい」と語りました。
そして、氷川さんのありのままの「ジェンダーレス」な一面を解放していく事になります。
ところで「ジェンダーレス」とはどのような意味の言葉なのでしょうか。
英語で表記すると、genderlessはgender(社会的な性)と接尾辞のless(〜がない)を組み合わせた造語で、「文化的に認識されている性別の境界線を無くす。」という意味合いで使われます。
つまり「女の子だからメイクをする」「男の子なんだから弱音をはかない」といった社会的な性別の概念から自由になろう!という考え方です。
芸能界では、少し前からりゅうちぇるやMattなどのジェンダーレスなタレントが、バラエティー番組などで活躍し始めましたが、最近ではEXITのりんたろー。さんが当たり前の様にメイクを語っている姿が見られ、世間の印象が変わってきましたね。
大手コスメブランド『THREE』でも、俳優の吉沢亮さんをモデルに起用するなど、世の中でジェンダーレスの動きが高まっています。
ちなみに氷川さんのお気に入りのメイク用品は、イタリアで購入したリキッドファンデーションだそうです。オシャレですね!
氷川さんも、今やジェンダーレスで名前があがる芸能人の1人となりました。
2019年発売の週間新潮によると、小さい頃に女の子っぽい事でからかわれた事から、自分を抑えて男らしく生きる事を意識し、デビュー後もみんなが求める「氷川きよし」に徹してきたそうです。
そして同じ九州出身の美輪明宏さんも、幼い頃に同じ様な悩みを抱えてきた事に共感して、「ヨイトマケの唄」をカバーする様になったそうです。
氷川さんの歌に込められた思いを知ると、より心に深く響きますね。
氷川さんの交際関係や指向については「デビュー前にゲイバーで働いていた」という噂話や、平井堅さんや松村雄基さんのと交際がスクープされましたが、どれも証拠があいまいで、氷川さん自身の口から語られたものではありませんでした。
ところが、デビュー20周年となる2019年を境に、ジェンダーレスな一面が見られるようになってきます。
2019年8月8日に行われたプロ野球・ヤクルト対阪神戦の始球式では、黒のショートパンツからのぞく美脚が話題になりました。しっかりお手入れされていて、スラリとしたきれいな脚でしたね。
【引用元:https://www.daily.co.jp/gossip/2019/08/08/0012590764.shtml?ph=4】
そして同年11月に、氷川さんのジェンダーレス化が更に進みます。
11日に氷川さんは新曲『大丈夫/最上の船頭』のイベントに出演し「新生・氷川きよしです!本来の自分に戻りました!」と宣言。20日に放送された『徹子の部屋』では、美しくなったその変貌ぶりに黒柳徹子さんも驚きを隠せませんでした。
11月25日発売の『GQJAPAN』のグラビアでは妖艶な一面も。ジェンダーを超えた自分らしさを特集して欲しかった、という希望が叶ったそうです。氷川さんも納得の美しい一枚ですね。
また、GQ COMMUNITYでファンや家族への愛や、心境の変化について語っています。
自分を解放しようと思ったきっかけを訊ねると、ハッとするような答えが返ってきた。
「やっぱり、愛ですね。ファンの皆さんへの愛もそうだし、家族への愛も、恋愛もそうです。自分を解放して、ありのままの自分でおもいきり人を愛したいと思い始めました」
そんな彼の生き様を、いちばん身近な人が応援してくれた。
「母が『好きなように生きなさい』って言ってくれたんです。『自分の人生なんだから、あなたの好きなように生きなきゃ』って。子どものころから『きーちゃん』って呼んで、ずっと見ていてくれたから、一人で東京に出て、芸能界で頑張っている姿を見て心配していたんでしょうね。母の励ましはすごく嬉しかったです」
デビュー20周年の武道館コンサートも、幻想的な演出でした。衣装だけではなく、ステージ全体がジェンダーレスな美しさで溢れていて、見ている人たちを魅了します!
2019年12月28日。NHKの紅白歌合戦リハーサル初日に、『限界突破×サバイバー』について氷川さんはこの様に語っています。
演歌の“氷川きよし”というイメージ付けをされていたので、そのイメージをぶち壊したいという思いがあった。どうしても人間はカテゴライズをする傾向がある。これからは時代も変わって、ありのままの姿で本当の自分を表現していきたい。
【引用元【紅白リハ】氷川きよし“限界突破”した1年 節目の舞台は「紅組でもあり、白組でもある」 | ORICON NEWS】
今までの自分の殻を破って行きたい、という氷川さんの思いと、楽曲とが見事にマッチして、当日は素晴らしいステージでしたね。
2019年11月にインスタグラムを開設した氷川さんですが、過去のインタビューでファッションや料理なども紹介していきたいと語っていました。
よく見ると、記事によって「氷川きよし」「kii」と名前を分けて自分を表現しています。そして多くの記事が「氷川きよし」という仮面を外して、素のままの「kii」さんが感じた事を楽しそうに綴っています。
呼び名については、2021年に「kiina」と新たな愛称に変わっていきます。「kiina」は、「kii」と「natural」をかけ合わせた言葉で、自然にありのままに生きていくという氷川さんの意思が伝わってきますね。
料理やスイーツ、一緒に暮らしているダックスフンドの話題など、充実したジェンダーレスな私生活の記事が満載です。特に料理や器の写真はどれも美しく、氷川さんが心から楽しんでいる様子がわかります。
年始早々に活動休止宣言で世間を驚かせた氷川さんですが、2022年2月1日に新曲「群青の弦」を発売します。
こちらの楽曲を紹介したインスタグラムでは、kiiでもkiinaでもない「氷川きよし」としてのコメントが掲載されています。
日常の様子とはうって変わった、楽曲に合わせた衣装や表情にプロ意識の高さを感じますね。
若い頃のキリっとした姿も素敵でしたが、ジェンダーレスな自分を解放してからの、我が道を進む氷川さんも魅力的ですね。
2022年をもって活動休止となりますが、リフレッシュ後に更に進化したきーちゃんが戻ってくる事を、期待しましょう!
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