日本でも人気の男装女子が主演のドラマ。
いつ男装がバレてしまうのかドキドキしたり「自分は男が好きだったのか」と悩む相手役を見てクスッと笑ったり、非現実的ながらとても楽しめるジャンルの1つですよね。
今回は男装女子が登場するドラマを5選ご紹介します。
まず始めは、2010年に放送され韓国で大ヒットした「トキメキ☆成均館スキャンダル」です。
小説「成均館儒生たちの日々」を原作に、人気俳優らがブレイクするきっかけとなった作品としても有名ですよね。
物語は、文化や学術が盛んとなった朝鮮王朝時代が舞台です。
幼くして父を亡くし、家族を養わなければならなくなった主人公ユニ。
男装し、官僚になるための科挙試験の代筆でお金を稼ごうとしますが、受験に来ていたソンジュンに気付かれてしまいます。
「家族のために見逃してほしい」と懇願するユニでしたが、ユニの聡明さに気付いたソンジュンから代筆を依頼され、改めて受験することに。試験は見事合格。しかし当時の王・正祖にバレてしまい、2人は罰として女子禁制の成均館での寄宿舎生活を言い渡されてしまいます。
女であることを隠したまま始まった共同生活。
バレないように生活するユニと、なぜかユニに惹かれていき「自分は男が好きなのか」と葛藤するソンジュン。
意識し合う2人と成均館の儒学生たちとのハラハラドキドキな青春ストーリーに、多くの視聴者が虜になりました。ラブストーリーだけではなく、儒教生同士のコミカルなシーンまで見どころ満載な本作は、KBS演技大賞最多受賞作品にもなり、「成均館病」と造語ができるほどの社会現象を巻き起こします。
「ユニは家族のために男装した」という設定になっていますが、「女性のままではできない勉強をするために男装した」という見方もできますよね。自由に生きるにはあまりにも制約が多すぎる時代でしたので、女性が奮闘する時代劇ドラマは多くの視聴者を魅了したのではないかと考えられます。
本作で男装女子を演じたのは、圧倒的美貌と愛らしさで人気のパク・ミニョンさんです。
2005年にCMデビューして以来、「ヒーラー」や「キム秘書はいったい、なぜ?」などドラマを中心に活動しています。
イケメン男性3人に囲まれるユニを演じるにあたり「世間から妬まれるのでは」と心配していたようですが、放送が開始すると瞬く間にユニの男装姿に人気が集まりました。
インタビューにて「作品を通して何事もチャレンジし努力を続けることの重要さを学んだ」と語っていましたが、パク・ミニョンさんの演技にひたむきな姿勢と真心が視聴者を虜にさせた要因ではないかと考えられます。
一度見たらハマってしまうこと間違いなしの作品です。
続いては、韓国だけでなくアジア各国で人気となり、日本ではリメイク版も放送された「美男ですね」をご紹介します。
生まれ育った修道院内の孤児院でシスターになるべく見習いとして修行する主人公ミニョ。
双子の兄の代わりとして3か月だけバンド活動をすることになり、男装して参加します。始めはトラブル続きでしたが徐々に打ち解けていき、ミニョとバンドメンバーのテギョンは次第に惹かれ合うように。
潔癖症で神経質なリーダー・テギョン。クールで物静かなギター担当・シヌ。楽天家でムードメーカーのドラム担当・ジェルミ。3人のイケメンと男装女子ミニョが織り成すドキドキな四角関係に加え、ミニョをライバル視する女優の登場もあり、全16話では足りないほどの濃い内容となっています。
大人気イケメンバンドに加入した男装女子を演じたのは、演技だけでなく歌にも定評のあるパク・シネさんです。
デビュー後すぐにドラマ「天国の階段」でチェ・ジウさんの幼少期を演じたり、2016年には「ドクターズ〜恋する気持ち〜」にてAAAドラマ部門ベストアーティスト賞を受賞するなど華々しい活躍を続けています。
ミニョを演じるにあたり「当時兵役中だった兄の丁寧な話し方を取り入れたら、男装しているミニョのイメージにうまく合った」と役作りの裏側を明かしたパク・シネさん。
努力の甲斐あって、世間でもミニョの話し方をマネする人が続出しました。
インタビューで「次の回を想像して笑い合えるような、気楽に見てほしいドラマ」と答えた通り、たくさんの視聴者が日々の忙しさを忘れて楽しめた作品だったことでしょう。
次は、イケメンだらけのコーヒー店で繰り広げられるラブコメディが人気となった「コーヒープリンス1号店」です。
16歳で父親を亡くして以来、一家の大黒柱として働く主人公ウンチャン。
ショートヘアにメンズライクな格好からよく男と間違われますが、心はピュアな女の子です。
偶然出会った食品会社社長の孫であるハンギョルに「ゲイの振りをしてくれ」と頼まれ引き受けることに。この出会いをきっかけに2人は親交を深めていきました。
亡き父の影響からコーヒーの香りを嗅ぎ分ける絶対嗅覚を持っていたウンチャンはバリスタになりたいと夢を見ていた矢先、ハンギョルがコーヒー店を営むことになったと知ります。
必死に頼み込み晴れてコーヒー店員となりましたが、女であることは秘密のまま。
その後ハンギョルの店は「イケメンが揃うコーヒー店」として繁盛していきます。
一方で、ハンギョルは次第にウンチャンを意識するようになります。しかし男だと思っているため気持ちを押し込んでしまい、なかなか関係は進展していきません。
ハンギョルの従兄ハンソンやハンソンの恋人ユジュも加わり、4人の複雑な恋愛模様が描かれていきます。
今作で男装女子を演じたのは、人気アイドルグループBaby V.O.Xの元メンバーで女優としても活動するユン・ウネさんです。アイドル活動と並行して2002年に映画「緊急措置19号」で女優デビューを果たすと、2006年には「宮 -Love in Palace-」でドラマデビューながら初主演を務め話題となりました。
ハンギョルを演じたコン・ユさんから「ユン・ウネの情熱や本気度が自分を後押ししてくれた」と称賛されるほど、役作りにも熱心に取り組んだユン・ウネさん。
20代前半のおしゃれを楽しみたい時期でしたが、髪をバッサリとカットし、日焼け止めも塗らない野暮ったいウンチャン像を仕上げていきます。
ひたむきな努力の結果、ユン・ウネさんの代表作の1つと呼ばれるほどの大ヒット作となったのでした。
続いてご紹介するのは、16世紀後半に女性で初めて宮廷陶工(沙器匠:サギジャン)となったユ・ジョンの半生を描いた「火の女神ジョンイ」です。
主人公ユ・ジョンは歴史上には存在しない架空の人物ですが、モデルとなったのは日本の有田焼に貢献したと言われる百婆仙という女性です。王の器を作る沙器匠ウルタムに育てられた主人公ジョン。ウルタムの仕事である陶芸よりも、弓や狩りを好むおてんばな女の子へと成長しました。
ある日、王の次男である光海君に出会い、初めて恋に落ちます。
一方、王室の陶磁器製造所・分院への復帰を目指していたウルタムは、かつて自分を陥れたライバルによって暗殺されてしまいます。
養父の突然の死に悲しむジョンでしたが、暗殺を企てた犯人たちの会話を偶然聞き、自身が沙器匠となり養父の無念を晴らすことを決意します。
しかし男性優位な時代に、女性が沙器匠になるのは容易いものではありませんでした。
5年後、男装姿で光海君と再会したジョン。
光海君が気になりながらも、ジョンは沙器匠になるため様々な困難に立ち向かっていきます。
明るく前向きな男装女子ジョンを演じたのはムン・グニョンさんです。
1999年に映画「路上にて」でデビューすると、可愛らしいルックスと抜群の演技力から「国民の妹」として人気を集めました。
実は本作が初めての男装女子役ではなく、2008年のドラマ「風の絵師」でも男装女子を演じています。
他にもラブストーリーやアクション、コミカルな演技まで表情豊かに演じるムン・グニョンさん。
人気の高さも納得ですよね。
ジョン役を演じるにあたり、「陶器の知識を身につけたい」と陶芸を習いに行ったようです。
しかし実際にカメラの前で陶磁器を造ると、なかなか上手くいかなかったとか。
出来上がったシーンでは不自然に思わなかったので、本当に努力されたのでしょう。
ジョンの成長とともに、子役から大人の女優として成長したムン・グニョンさん。その後も女優として活躍を続け、近年では映画監督も務めています。
最後は、大人気俳優パク・ボゴムさんが主演を務めたことで大注目された「雲が描いた月明り」をご紹介します。
幼いころから男装して過ごしてきたラオンは、借金返済のため恋愛相談や恋文の代筆などで生計を立てていました。
ある日、代筆の依頼人から「手紙相手に会ってきてほしい」と頼まれ、男装のまま会いに行くことに。
しかしそこで待っていたのは、手紙相手とされる妹を心配して代わりにやってきた一国の世子ヨンだったのです。
世子とは知らないラオンは、執拗に詰め寄るヨンを落とし穴に置き去りにしてしまいます。
その後、借金取りの命令で内官試験を受けるはめになったラオンでしたが、まさかのヨンと再会。
逃げようとするラオンでしたが、どうにかして仕返ししたいヨンはラオンを内官に合格させたのでした。
共に過ごす時間が増え、身分の違いに悩まされながらも惹かれ合うラオンとヨン。
また後半は激しい権力争いが繰り広げられていきます。
ラストまでどうなるか分からない展開に、視聴者もドキドキしたに違いありません。
歴史を基に描かれた本作は最高視聴率25.3%を記録します。
ドラマを視聴するために予定をキャンセルして早く帰宅する女性が増え、「クルミ(雲)シンドローム」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。
男装女子を演じたのは、子役時代から絶大な人気を誇るキム・ユジョンさんです。
デビューから13年目を迎えた頃にやってきた男装女子役。
インタビューにて「ラオンの成長とともに自身も成長出来た」と語った通り、あどけない男装女子ラオンと若干17歳でヒロインを務めあげたキム・ユジョンさんには通じる部分を感じますよね。
ラオンの人生に一喜一憂し、放送終了後も名残惜しさを感じると語ったキム・ユジョンさん。
それほど役に向き合い、演じていたのだということが分かりますね。
その後もドラマや映画と活躍を続け、現在ではすっかり大人の女優へと変貌を遂げています。
今回は、男装女子が登場するドラマ5選をご紹介しました。
複雑な環境が背景にありながらも、どの作品の男装女子もピュアで愛らしい素敵な役ばかりでした。
また男装女子を演じる女優も努力家で明るい性格の方が多く、恋人役の俳優を始め共演者らから厚い信頼を得ていたのだろうと感じましたよね。
視聴者らは「男装」という非現実的な設定ながらドキドキするストーリー展開に魅了されたのだと考えられます。
皆さんも、ご覧になってはいかがでしょうか。
合わせて読みたい