多くの韓国ドラマが毎年誕生しますが、記憶に残り続ける「傑作ドラマ」に出会うのはなかなか難しいものです。
そこで今回は、韓国の某映画誌が実施した、映画評論家や記者、そしてTV批評家のアンケート調査をもとに、韓国業界人が選ぶ「2024年最高の韓国ドラマ」の中から7作品を選びご紹介します。
最初にご紹介するのは、2024年に放送された「こんなに親密な裏切り者 」です。
韓国最高のプロファイラーが、殺人事件の捜査中に娘の秘密に直面し、絶望に崩れ落ちながら深淵の真実を追う、父と娘のスリラードラマ。
本作は、圧倒的完成度で高い評価を受け、MBC演技大賞で、ハン・ソッキュさんが大賞を受賞しました。
韓国最高のプロファイラーと呼ばれ、犯罪行動分析チームのチーム長である、ハン・ソッキュさん演じるチャン・テスは、一人娘の、チェ・ウォンビンさん演じるハビンにとって良い父親でいたいとも思っていました。
しかし、長いこと離れて暮らしていた父娘の関係の溝は深まるばかり。
ある日、自身が捜査している死体のない殺人事件にハビンが関わっているかもしれない疑惑が生まれます。
そして娘を信じたい思いと、警察として疑わなければならない信頼と疑いの狭間の中、父として、警察として真実を見つけ出すため葛藤します。
本作は、展開がスピーディというわけではないですが、俳優陣の重みのある演技と、メッセージ性のある脚本で視聴者を魅了しました。
「演技、演出、脚本まで完璧な高品格ドラマ」と、放送終了後から絶賛の声が相次ぎました。
続いてご紹介するのは、2024年に放送された「夜に咲く花 」です。
昼は慎ましい寡婦、夜は覆面の剣士として生き、若き従事官と繰り広げるロマンティック・コメディアクション時代劇。
最終話は、最高視聴率18%を記録し、主演のイ・ハニさんは、百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞しました。
婚礼日に夫を亡くし寡婦となった、イ・ハニさん演じるチョ・ヨファは、15年間、左議政の邸宅で白い喪服を着て節操を守り、つつましやかに暮らしていました。
しかし、満月の夜にはこっそり黒装束で最強の剣士「弱きをたすけ強きをくじく美談様」として活躍していました。
夜、覆面で飛びまわるヨファと、禁衛営の従事官、イ・ジョンウォンさん演じるパク・スホは、何度か遭遇するうちに顔見知りになります。
本作は、緻密に張り巡らされた伏線と、予想外の展開が魅力の歴史・時代劇アクションです。
また、ベテラン俳優と若手俳優のバランスの取れたキャスティングが特徴で、それぞれの個性と演技力が相互に補完し合い、視聴者を引き込む力強い作品に仕上がっています。
三番目にご紹介するのは、2023年に放送された「少年時代-恋と涙と青春と-」です。
いつも殴られていた気弱な少年が、最強の不良「牙山の白虎」と勘違いされた事から巻き起こる、愛と成長の青春ラブコメディ。
本作は、忠清道の農業高校を舞台に、愉快な方言と個性豊かなキャラクターで視聴者を魅了し、「少年時代シンドローム」を巻き起こしました。
また、青龍シリーズアワード、アジアコンテンツアワード＆グローバルOTTアワード、韓国ドラマアワード、コンテンツアジアアワードなど、合計7つの賞を受賞しています。
イム・シワンさん演じるビョンテの父親は、ある日不法教習所を運営している事がばれて、夜逃げして故郷である扶余に戻る事になります。
そんな中、偶然プヨの喧嘩番長を倒して名前が似ているという理由で、喧嘩番長の扱いを受けてプヨ生活が始まります。
最初は途方に暮れていたビョンテも、いつのまにか喧嘩屋扱いを楽しむようになります。
1980年代を背景にしているため、アナログ感たっぷりで懐かしい思い出を呼び起こしてくれるドラマです。
また、「ミセン－未生－」などに出演し、存在感と演技力で多くのファンを魅了してきたイム・シワンさんが、今までにない見栄っ張りで情けない主人公ビョンテを好演。
コミカルながら、喜怒哀楽を巧みに表現した熱演には称賛の声が相次ぎました。
四番目にご紹介するのは、2024年に放送された「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる」です。
貸別荘に訪れた謎めいた女性の存在によって、オーナーとその周囲の人々の人生が大きく狂い始めるサスペンススリラー。
キム・ユンソクさん演じるヨンハは、貸別荘を経営をしていましたが、ある日、小さい息子を連れてやってきた、謎の女、コ・ミンシさん演じるソンアによりすべてが一変します。
別荘を去った後に、異変に気づいたヨンハは、ソンアが自分の息子を殺したのではないかと確信します。
しかし警察に通報してしまうと経営ができなくなるのではと、通報するのをやめ、きっと自分の思い込みだと言い聞かせます。
ところが、ソンアはヨンハが通報しなかったため、居心地のいい別荘だから自分に売ってくれと戻ってきます。
ヨンハは、抵抗し通報しなかったことを後悔します。
このままでは、平和を取り戻すことができないと思っていた時に、2000年にモーテルで起きた殺人事件に辿り着きます。
緊張感あふれる展開に、イッキ見する視聴者が続出したそうです。
二つの時間帯の物語が一つにつながっていく緊張感あふれるストーリーと、ミステリアスなサイコパス悪女を演じたコ・ミンシさんの熱演に絶賛の声が相次ぎました。
五番目にご紹介するのは、2024年に放送された「良いが悪い、ドンジェ」です。
女子高生殺人事件を担当することになった検事が、勘と日和見主義者の本能の間で危険な綱渡りをする物語。
本作は、2017年から2020年にかけて放送された人気ドラマ「秘密の森」のスピンオフドラマで、難解事件と検事の不正を描いた本格サスペンスとして、多くのファンを魅了しました。
「スポンサー検事」という不正のレッテルを貼られ、なかなか昇進できずにいる地方検事の、イ・ジュニョクさん演じるソ・ドンジェ。
なんとか再起をはかる機会をうかがっているものの、担当するのは小さな事件ばかりです。
ある日、ドンジェは一見平凡な交通事故を担当することになりますが、通常の交通事故とは異なる違和感を覚えた彼は、事故の調査を行う中でイホン建設の、パク・ソンウンさん演じるナム・ワンソンの存在にたどり着きます。
被害者は、再開発が予定されている地域で食堂を営むイ・ギョンハク。
土地を譲ろうとしないギョンハクを追い込むため、ワンソンの弁護士が仕組んだ計画的な事故だったのです。
善と悪、どちらにも偏らない、人間らしい魅力的なドンジェのキャラクター、そして「秘密の森」を彷彿とさせる巧みな構成にハマる視聴者が続出しました。
「スピンオフにしておくには勿体無いほどの完成度」、「コミカルながらも謎を解いていく展開が面白い」と、絶賛の声が集まりました。
六番目にご紹介するのは、2024年に放送された「LTNS～不倫探偵夫婦物語～」です。
「レス夫婦」がお金を稼ぐため不倫カップルを脅迫する中で、壊れていた自分たちの関係に向き合っていくブラックコメディ。
日常の疲れで、昔の情熱がなくなった、セックスレス夫婦の夫、アン・ジェホンさん演じるサミュエルと、イ・ソムさん演じる妻ウジン。
これ以上、今の生活を続けられないと考えていましたが、偶然知った友人の不倫を見逃すことで代償を手にし、「不倫はお金になる」ことを発見します。
以降、自分たちのより良い人生のために、不倫カップルを次々と脅迫してお金を要求していきます。
そのおかげで経済的な余裕ができ、一緒にいる時間も増えて、今まで目を逸らしてきた夫婦問題にも向き合うようになります。
韓国ドラマとしては初めてセックスとセックスレス夫婦の話を前面に掲げるという、果敢な挑戦をした作品です。刺激的でありながらも、夫婦間の愛と関係を率直かつ大胆に解き明かし、数々の名言は多くの視聴者の共感を得ました。
最後にご紹介するのは、2024年に放送された「白雪姫には死を～BLACK OUT」です。
殺人事件の犯人に仕立てられ服役した青年が、事件の真相を追う犯罪ミステリースリラー。
原作は、ドイツでシリーズ累計350万部を突破したメガヒット小説「白雪姫には死んでもらう」。
「秘密の森」や「怪物」の後をつなぐスリラーの名作と、韓国のサスペンスオタク達を熱狂させました。
19歳の二人の少女が残虐に殺害されます。
しかしあちこちに血が飛び散り、血の海のようになった倉庫で、息絶えた少女たちの遺体は見つかりません。
容疑者は、彼女たちの友人の少年でしたが、泥酔していた彼は何も思い出せません。
殺したという記憶もないが、殺していないという記憶もありませんでした。
それから11年後、青年になった彼が出所します。
全てを忘れて静かに暮らそうとする中、白骨遺体が見つかります。
本ドラマは、原作の童話「白雪姫」を大胆に再解釈し、サスペンスとミステリーの要素を盛り込んだ話題作です。現代社会を背景にした物語は、登場人物たちの複雑な関係や、心理描写が魅力となっており、スリリングな展開が視聴者を引き込みます。
いかがでしたでしょうか。
今回はご紹介できませんでしたが、この他にも、「卒業」、「大都市の愛し方」、「殺し屋たちの店」、「ソンジェ背負って走れ」、「ヒーローではないけれど」などが「2024年最高の韓国ドラマTOP10」に挙がっています。
是非これらも含めて一度ご覧ください。