韓国時代劇では、内官役が重要な役割を果たし、ドラマの背景を深く理解するための鍵となります。
そこで今回は、主役級の輝きを放つ「内官」役として、大変良い味を出していた俳優10人をご紹介します。
内官とは?
「内官」は、王や王妃に仕え、身の周りの世話や雑用、王室の財産管理をも担当する、「男性官吏」のことを指します。
王妃や宮女と関係しないように去勢されて生殖能力を失った男性が務めました。
韓国では、「ネグァン」あるいは「ネシ」と呼びます。
また内官の品階は、従2品から従9品までの15階級があり、品階が高いほど王のそばに仕えました。
それでは早速「内官役がハマった俳優と作品を紹介していきましょう。
チェ・ウシク「屋根部屋のプリンス」

最初にご紹介するのは、韓国で活動する韓国系カナダ人俳優、チェ・ウシクさんです。
1990年3月26日 ソウル特別市生まれの35歳(2025年現在)。

2011年、「チャクペ -相棒-」で俳優デビューすると、2014年の「巨人」で映画初主演、2015年の「ホグの愛」で、ドラマ初主演を果たします。
そして、カンヌ国際映画祭やアカデミー賞で多数の賞を獲得した、2019年の「パラサイト 半地下の家族」で、ソン・ガンホさん演じるギテクの息子、ギウ役に抜擢され、注目を浴びました。

そんなチェ・ウシクさんは、2012年の「屋根部屋のプリンス」で、元内官で、男と女を知り尽くしており人間にも詳しい、ト・チサン役を演じました。
そして、その最強のアドリブぶりが視聴者から注目を集め、演出家も「チェ・ウシクのアドリブは最高だ」と絶賛したそうです。
アン・セハ「カンテク」

続いてご紹介するのは、演劇、映画、ドラマで多様な役柄を演じ、特にコミカルな演技に特徴がある、アン・セハさんです。
1986年01月29日 慶尚南道昌原市生まれの39歳(2025年現在)。
約2年の準備期間を経て、歌手デビューしますが、歌手としての限界を感じ、俳優に挑戦。演劇とミュージカルで経験を積み、2013年からドラマと映画に挑戦します。

そして、2015年のドラマ「彼女はキレイだった」のプンホ役で愛され、一気に脚光を浴びました。
その後は、2016年「雲が描いた月明かり」、2018年「100日の郎君様」、2020年「ゾンビ探偵」など多くのドラマで活躍しています。

そんなアン・セハ さんは、2019年の宮廷ロマンス時代劇「カンテク」に出演。
王宮の執拗な争いの中で、ほっこりさせてくれるキャラクターのファン内官を演じ、強烈な存在感を放っています。
コ・ギュピル「恋慕」

三番目にご紹介するのは、思わず同情してしまう人物を見事に演じる名脇役、コ・ギュピルさんです。
1982年5月2日 慶尚南道チュンム市生まれの43歳(2025年現在)。

1993年の児童映画「キッド・コップ」で子役デビューすると、その後、著名なテレビシリーズや映画に脇役として出演。
名前が知られるようになったのは、2018年の「検法男女」シリーズのチャン・ソンジュ役、2019年「熱血司祭」シリーズのオヨハン役、2019年「愛の不時着」のホン・チャンシク役などがあり、本格的に知名度が上がったのは、2023年の映画「犯罪都市3」でのチョロン役でした。

そんなコ・ギュピルさんは、2021年の宮廷ロマンスドラマ「恋慕」の内官役として登場。
本キャラクターは、主人公フィをいつも心配する姿がコミカルで愛おしく、なくてはならない存在として描かれています。
コ・ギュピルさんの演技は、彼の個性派のビジュアルと優しそうな笑顔が印象的で、視聴者に愛おしく感じさせました。
チャン・グァン「雲が描いた月明かり」「王になった男」

四番目にご紹介するのは、様々なドラマや映画で、個性豊かなキャラクターを演じる名バイプレイヤー、チャン・グァンさんです。
1952年1月5日生まれの73歳(2025年現在)。
2011年の映画「トガニ 幼き瞳の告発」で、強烈な悪役を演じて高い注目を集めると、2022年のドラマ「シスターズ」や、2013年の映画「怪しい彼女」などでも、個性豊かなキャラクターを演じています。

主に悪役を演じる機会が多いですが、主演となる作品は少ないものの、物語の中核を担う役柄が多い点も特徴として挙げられます。
そんなチャン・グァンさんは、2016年の時代劇ラブコメディ「雲が描いた月明かり」では、王付きの内官で、役人たちを統率している内侍府の長のハン・サンイクというキャラクターを演じ、すばらしい演技を披露しました。

また、2019年の時代劇「王になった男」では、王の側近の一人であるチョ内官として出演。このキャラクターは穏やかな性格で、王と影武者の入れ替わりを知ってからは、主人公のハヨンに、王としての協力をしてくれるキーマンでもありました。
イ・ジュンヒョク「雲が描いた月明かり」「100日の朗君様」

五番目にご紹介するのは、役に合わせ自在に変身し、自然な演技を見せる実力派俳優、イ・ジュンヒョクさんです。
1972年3月19日 ソウル特別市生まれの53歳(2025年現在)。
元々は監督を目指していましたが、周囲からの声で俳優に転向したという逸話の持ち主です。
2008年の映画「過速スキャンダル」でデビューすると、数多くのドラマや映画で活躍。特に内官役での演技に定評があります。

2016年の人気ドラマ「雲が描いた月明かり」では、イ・ヨン世子に仕えるチャン内官として登場。
彼は、ホン・ラオンの先輩であり、宮廷内での生活や職務について彼女を指導します。
チャン内官は、厳格でありながらも面倒見が良く、ホン・ラオンにとって頼りになる存在でした。
イ・ジュンヒョクさんは、本作でKBS演技大賞・最優秀助演男優賞を受賞。
本作が、最高視聴率25%を記録し、KBS演技大賞で最多受賞の8冠を達成という成功に大きく貢献しました。

また、2017年の「100日の朗君様」でも重要な役割を果たしています。
彼の演技は、内官のキャラクターを深く掘り下げ、視聴者に感情的な共感を与えました。
メン・サンフン「イサン」

六番目にご紹介するのは、様々な時代劇の内官役で、存在感があり味のある演技が特徴の俳優、メン・サンフンさんです。
1960年10月29日生まれの65歳(2025年現在)。
1983年のMBC公採タレントとしてデビューすると、1985年の時代劇「朝鮮王朝五百年 壬辰倭乱」で、朝鮮出兵で豊臣軍と戦った李舜臣の副官役で出演しました。
その後、1990年の「朝鮮王朝五百年 大院君」、1999年の「ホジュン〜宮廷医官への道〜」、2001年の「商道」で演技を披露しています。

そして、2003年放送の「宮廷女官 チャングムの誓い」では、内医院の医務官、チョ・ウンベク役を務め、さらに2007年放送の「イ・サン」では、イ・ソジンさんが演じた正祖の側近のナム・サチョを演じました。

この人物は、内侍府の内官であり、王族の世話を支える重要な役割で、王族の食事を管理し、王命を各部署に伝え、王宮を守ることでした。
ナム・サチョは髭を生やしていないため、非常に目立っていました。
チョン・ウンピョン「太陽を抱く月」

七番目にご紹介するのは、多くのドラマや映画に出演し、感情豊かで観客に深い印象を与える演技が特徴のチョン・ウンピョンさんです。
1966年03月27日 全羅南道生まれの59歳(2025年現在)。
1990年に、演劇「雲上閣」でのデビュー以来、数多くの作品に出演。
どちらかというと主役を張るよりも、脇役で主演を支えることが多い俳優さんです。

2012年放送で、最高視聴率46%を記録した大ヒット時代劇「太陽を抱く月」では、主演のイ・フォン付きの内官、ヒョンソンを演じました。

本作の脇役陣はいずれも個性豊かでしたが、特にこの内官のヒョンソンは、唯一コミカルな役柄で、フォンとヒョンソンの絡みは、癒やしを与えてくれました。
イ・ウォンジョン「奇皇后」

八番目にご紹介するのは、シリアスからコミカルまで幅広い演技で、映画やドラマで活躍中の俳優、イ・ウォンジョンさんです。
1966年01月01日 忠清南道生まれの59歳(2025年現在)。

大学で行政学を専攻するも、卒業後は劇団に入団。
2002年に出演したドラマ「野人時代」で助演男優賞を受賞し、一躍有名になります。
それ以降は、毎年いくつものドラマに出演し続けています。
2011年にはドラマ「ペク・ドンス」に出演し、その後「奇皇后」で共演することとなるチ・チャンウクさんと共演しています。

そんなイ・ウォンジョンさんは、2013年の時代劇「奇皇后」で、高麗出身の元の内官であるトクマンを演じました。

この人物は、宮中の女官を束ねる責任者で、女官たちからは恐れられていますが、実際は情が深い人物で、ハ・ジウォンさん演じるスンニャンのことを宮中でかくまったり、色々と気遣ったりする役回りでした。
チェ・ムソン「奇皇后」

九番目にご紹介するのは、これまでに映画やドラマなど、数々のヒット作品に出演しているベテラン俳優、チェ・ムソンさんです。
1968年01月12日 釜山広域市生まれの57歳(2025年現在)。
高校卒業後、本格的に映画監督を目指そうと決め、学びの場として日本を選びました。
映像演出を専攻し5年近く日本で過ごしましたが、映画監督まであと1歩のところで韓国に帰国し、役者の世界へ戻ることを決意します。
映画をメインに活動していましたが、2011年に出演したドラマ「王女の男」を皮切りに、ドラマにも抜擢されるようになりました。

2010年の映画「悪魔をみた」や、2015年のドラマ「応答せよ」の、パク・ボゴムさんのお父さん役で知られるチェ・ムソンさんは、「顔は野獣、心は天使」と呼ばれる俳優です。

そんなチェ・ムソンさんは、2013年の「奇皇后」で、巡軍万戸府の副長、パク・ブルファを演じています。
彼は高麗出身の宦官であり、スンニャンの忠実な家臣で、彼女のために命をかけて尽くす姿が印象的でした。
シン・グク「宮廷女官チャングムの誓い」

最後にご紹介するのは、韓国時代劇の名匠イ・ビョンフン監督とタッグを組み、多くの時代劇で活躍したシン・グクさんです。
1947年12月14日 忠清南道に生まれ、2020年8月29日に死去。享年72歳。

1969年に、MBC公採タレントとしてデビューすると、1999年「ホジュン」、2001年「商道」、2002年「野人時代」、2003年「チャングムの誓い」、2007年「イサン」、2010年「トンイ」、2012年「馬医」など、多様な時代劇作品で深い印象を残しました。

そんなシン・グクさんが、「宮廷女官チャングムの誓い」で演じた「内侍府長」の役柄は、物語の転換点でさりげなく助言し、チャングムや女官たちの成長を支えました。
また彼の演技は、重厚さとコミカルさを使い分け、視聴者に「公正とは何か」、「仲間を支える大切さ」など、現実的な人生訓も投げかけています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、ちょっと変わり種の企画としまして「時代劇に欠かすことのできない、主役級の存在感を放つ内官」を演じた俳優10人を選んでご紹介しました。
いずれも個性的なベテラン俳優が演じており、主役を食ってしまうほどの演技力で、まさに宮廷時代劇の立役者と言えますね。







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