キム・スヒョンと言えば、デビュー以来、出演する作品が次々と高視聴率を記録し、若くして韓流トップスターとして韓国演技界を牽引してきた人気俳優です。
しかし最近は、その姿をあまり見かけないような気がします。
そこで今回は、そのあたりの理由と現在の様子などについてご紹介します。
キム・スヒョンさんは、「ドリームハイ」で注目を浴び、「星から来たあなた」で大ブレイクした「新・韓流四天王」の一人とも言われる人気と実力を兼ね備えた俳優です。
1988年2月16日 ソウル特別市生まれの37歳(2025年現在)。
2007年のシットコムドラマ「キムチ・チーズ・スマイル」の水泳部員役で芸能界にデビューすると、2010年のドラマ「ジャイアント」で存在感を知られ始め、2011年のドラマ「ドリームハイ」 で一躍注目を浴びました。
そして、2012年の主演ドラマ「太陽を抱く月」では、最高視聴率46％を叩き出す大ヒットを記録し、2013年の「星から来たあなた」で、アジア中を虜にしたキム・スヒョンさんは、「韓国芸能界を一度に揺さぶることができる爆発力を持つ俳優」と言われました。
またドラマだけでなく映画でも興行ホームランを飛ばし続けるなど、出演作は必ず大ヒットすると言われ、視聴率保証俳優とも呼ばれています。その後、除隊後本格復帰作となった2020年の「サイコだけど大丈夫」も世界中で愛され、韓流スターの存在感を示しました。
女優のキム・セロンさん（当時24歳）が、2025年2月に急死すると、彼女の遺族が、YouTubeチャンネルを通じて、キム・スヒョンさんへ未成年時の交際の事実を認め謝罪するよう要求し、二人の写真と映像を相次いで公開する事態となりました。
遺族側は、キム・セロンさんが未成年だった時代から6年間(2015年〜2021年)、キム・スヒョンさんと付き合ったと主張。
一方のキム・スヒョンさん側は、2019年から2020年までの成人後の交際は認めたものの、故キム・セロンさんが未成年だった時期の交際を否定し、遺族側を名誉毀損で告訴し、損害賠償請求訴訟を起こしています。
この未成年交際論争は、両者の主張が大きく食い違っており、真相は複雑で、現在裁判で真相が明らかになるのを待つ状況です。
しかしこの騒動を受けて、キム・スヒョンさんは活動を自粛する形となり、所属事務所などからの発表はありませんが、公の場での露出がなくなっています。
例えば2025年3月に予定されていた、台湾でのファンミーティングが、この疑惑の影響で中止となりました。
また、スヒョンさんのCMや広告の契約解除も相次ぎました。
「PRADA」は3月14日に、韓国のコスメブランド「Dinto」は翌15日に契約解除を発表。
ほかの企業も次々に彼が掲載された写真や動画を削除する動きを見せ、スヒョンさんは事実上の活動休止状態に追いやられました。
更に、複数の広告主から総額73億ウォンの損害賠償訴訟を提起されており、現在（2025年9月時点）はこれらの問題に対応中とみられています。
本業でも、キム・スヒョンさんが出演し、600億ウォンの制作費が投入される予定だった作品「ノックオフ」が制作遅延となり、違約金問題も議論されている状況です。
現在（2025年9月時点）、キム・スヒョンさんの正式な活動再開に関する発表は確認されていません。
キム・スヒョンさんが出演した人気ドラマの中から、代表作と言えるおすすめの三作品をご紹介します。
一作目は、 2012年公開の「太陽を抱く月」です。
朝鮮王朝時代の架空の若き王と、記憶を失って巫女として生きる美しい女性のファンタジー・ラブロマンス史劇。ベストセラー小説をドラマ化し、最高視聴率46%を記録した超話題作です。
太陽のように輝く、ヨ・ジングさん演じる王子フォンと、太陽を優しく抱く月のような少女、キム・ユジョンさん演じるヨヌは、運命に導かれるように恋に落ちます。
しかし、婚礼を目前にヨヌが原因不明の病にかかり、命を落とします。
その陰には、朝廷の権力争いによる陰謀がありました。
それから8年、若き王となった、キム・スヒョンさん演じるフォンは、ヨヌを忘れられず心を閉ざしていました。そして死んだはずの、ハン・ガインさん演じるヨヌは、過去の記憶をすべて失い、巫女としてこの世に生きていました。ある夜、偶然の出会いを果たす二人。運命の歯車が再び回り始めます。
韓国王道の純愛ストーリーにファンタジーやミステリー、そして歴史ドラマならではの権力闘争や陰謀をドラマティックに描いています。当時「新感覚時代劇」として大きな話題となった伝説の大ヒット時代劇です。
二作目は、2013年公開の「星から来たあなた」です。正体と超能力を隠して生きてきた宇宙人と、隣人の人気女優とのピュアな恋をコミカルに描いたフィクションラブロマンス。
最高視聴率33％という驚異的な数字を記録し、百想芸術大賞で、チョン・ジヒョンさんがTV部門大賞、キム・スヒョンさんが男性人気賞に輝き三冠を達成。
ソウルドラマアワードでは最優秀作品賞を含む4冠、コリアドラマアワードでも5冠に輝きました。
1609年、朝鮮の地に舞い降りた宇宙人の、キム・スヒョンさん演じるト・ミンジュンは、自分の正体と超能力を隠し、400年以上もの歳月を生きてきましたが、地球での暮らしも残すところ３カ月。
静かに故郷の星に帰る準備を進めていました。
ところが、マンションの隣室に、トップ女優のチョン・ジヒョンさん演じるチョン・ソンイが引っ越してきたせいで、生活は一変。次々と面倒に巻き込まれてしまいます。
地球人のトラブルには干渉しないと決めていたミンジュンでしたが、なぜかソンイのことは放っておけず、やがて彼女に惹かれている自分に気づきます。
本作は、実際に目撃されたと「朝鮮王朝実録光海君日記」に記された、未確認飛行物体の目撃談を基に作られたそうです。
普段クールなキャラクターが、時折見せるドギマギは笑えますし、いい女ぶっておいて実は恋愛初心者のヒロインのキャラクター崩壊ぶりは、爆笑につぐ爆笑で、チョン・ジヒョンさんのコメディエンヌぶりが最高に発揮されていました。
三作目は、2020年公開の「サイコだけど大丈夫」です。自分の気持ちを抑えて生きる主人公と、愛を知らない童話作家が出会い、心の傷を癒やしていくラブストーリー。
精神病院の保護士をしている、キム・スヒョンさん演じるムン・ガンテは、自閉症スペクトラムの、オ・ジョンセさん演じる兄サンテと一緒に暮らしており、自分の感情や欲望を捨て、兄や他人を優先して生きていました。
そこに現れたのが、美しさの極み乙女、ソ・イェジさん演じるコ・ムニョン。
売れっ子童話作家である彼女は、いわゆる「サイコパス」でした。
欲しいものは必ず手に入れ、そのために他人の犠牲が出ることも厭わないが、その実態は、他人の感情を感じ取ることができない、反社会性パーソナリティ障害だったのです。
そして二人が出会った出来事がきっかけで、ムニョンはサンテに執拗につきまといはじめます。
自分の感情を抑え続けてきたサンテと、自分の感情のままに生きてきたムニョン。
正反対すぎる二人は、激しくぶつかりながら、また周囲を大きく巻き込みながら、少しずつお互いを理解し、不器用ながらに関係を育んでいきます。
本作の童話を思わせる演出や、サスペンスが絡む奥深いストーリーは、世界的に高い評価を得ました。
また、辛い人生を生きながらも、曲がらずに真面目で礼儀正しいガンテの人柄を見ていると切なさが押し寄せます。
一方のムニョンは、これまで見たことのないほどの最狂ヒロインで、美しく狂気に満ちたその存在感と予想のできない行動に衝撃の連続です。
更に、サンテを演じたオ・ジョンセさんは、数々の名作ドラマ出演で知られる名脇役で、三枚目な役柄が多い印象でしたが、本作で新しい一面を見せてくれています。
いかがでしたでしょうか。
私生活を巡る論争で、活動停止状態に追い込まれているキム・スヒョンさんですが、2025年7月にはデビュー18周年を迎え、国内外のファンからは変わらぬ支持と祝福を得ています。
一刻も早く、彼の「泣きの天才」と称される演技を再び見たいものですね。