ドラマを観る視聴者の目が非常に肥えていると言われる韓国ですが、近年は配信ドラマ数が多くなったこともあり、なかなか高視聴率は出にくいようです。
そんな状況ですが、今回も第二弾として2019年以降の公開で、最高視聴率が16%以上を記録したヒットドラマを7作品ご紹介します。
最初にご紹介するのは、2019年放送の「椿の花咲く頃」です。
シングルマザーが自分を取り巻く社会的偏見に反抗し、新しい愛の可能性を探るロマンティックラブサスペンス。
最高視聴率は25%を記録し、その年のKBS演技大賞では、主演のコン・ヒョジンさんが大賞を受賞するなど、12冠の栄誉に輝きました。
住民は皆が顔見知りという田舎町オンサンに、幼い息子を連れたシングルマザーの、コン・ヒョジンさん演じるオ・ドンベクが引っ越してきて、「カメリア」というスナックを開きます。
ドンベクの美貌もあって店は男性客が集い繁盛しましたが、それを快く思わない地元の女性たちは、未婚の母であるドンベクに偏見をもって接しました。
ドンベクが移住して6年余り、熱血漢の警察官、カン・ハヌルさん演じるファン・ヨンシクが、故郷に赴任します。
ヨンシクは偶然見かけたドンベクに一目惚れし、不器用ながらも一途にアプローチを重ねていきます。
本作は、ラブコメ、ヒューマン、サスペンスなど様々な要素が詰まったストーリーでありながら、設定や構成がしっかりとして、伏線回収も綺麗にされている脚本の力が素晴らしい作品です。
また、言い放題、やりたい放題の市場のおばさんが、一致団結して犯人逮捕に貢献するシーンには、大爆笑間違いなしです。
続いてご紹介するのは、2022年放送の「シュルプ」です。
トラブルメーカーの息子たちや、王座を狙うライバルの策略など、さまざまな問題に振り回されながらも、母親としての務めを果たすべく奮闘する王妃の姿を描いたハートフルな歴史ドラマ。
主役のキム・ヘスさんは、20年ぶりの時代劇出演で話題となり、最高視聴率17%を記録しました。
問題児である王子を、未来の国王として育成しようと奮闘する王妃、キム・ヘスさん演じるイム・ファリョンには、ペ・イニョクさん演じる優秀な長男の世子がいますが、突然、病に倒れます。
するとチャンスが来たと、側室達が王の母の座を狙おうと教育競争が巻き起こります。
王の母である、キム・ヘスクさん演じる大妃は、ファリョンに「私は孫よりも国が大事だ」と申し渡し、威圧的な態度をとります。
あらすじだけ見ると、歴史ドラマの感じが強いですが、まったくそれっぽくないところが本作の魅力です。
ヒューマン、コメディ、サスペンスやミステリー、ロマンスと多くのジャンルが詰め込まれているので、飽きることがありません。
ヒロインの王妃にはとにかく敵が多く、次々と起こる問題を、先手を打ってスマートに切り抜ける王妃の行動は、法廷ドラマ並みに爽快感があります。
三番目にご紹介するのは、2024年放送の「夜に咲く花」です。
昼は慎ましい寡婦、夜は覆面の剣士として弱き者を助ける、ロマンティック・アクション時代劇。
ヒロインのイ・ハニさんは、その多彩な演技力で視聴者を魅了し、百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞。
また、最終話ではMBC金土ドラマ史上最高視聴率となる18%を記録しました。
婚礼当日に夫を亡くし、寡婦となった、イ・ハニさん演じるチョ・ヨファは、15年間左議政の邸宅で、白い喪服を着て節操を守り、つつましやかに暮らしていました。
しかし、満月の夜にはこっそり黒装束で、最強の剣士「弱きをたすけ強きをくじく美談様」として活躍していました。
夜、覆面で飛びまわるヨファと、禁衛営の従事官、イ・ジョンウォンさん演じるパク・スホは、何度か遭遇するうちに顔見知りになります。
本作は、緻密に張り巡らされた伏線と、予想外の展開が魅力です。
ヒロインのチョ・ヨファの二重生活や過去に隠された秘密が物語の核となり、視聴者を奥深い世界へと引き込みます。
伏線とどんでん返しが好きな視聴者にとっては、必見のドラマと言えます。
四番目にご紹介するのは、2023年放送の「ポジション ~広告代理店の女王~」です。
大手広告代理店を舞台に、トップにのし上がろうとする女性の優雅で壮絶な戦いを描いたオフィスドラマ。
最高視聴率16%は歴代17位で、JTBCだけでは、「梨泰院クラス」に次ぐ、6番目の高視聴率となりました。
大手広告代理店「VC企画」の制作2チームを率いるクリエイティブディレクター、イ・ボヨンさん演じるコ・アインは業績トップの会社のエース。
冷酷非情に見えながら誰よりも努力し、平社員からのし上がってきました。
ある日成功を夢見ていた彼女に、社内プレゼンの話が舞い込んできます。
それはチョ・ソンハさん演じるチェ・チャンスライン、制作1チームのキム・デゴンさん演じるクォンCDとのプレゼン競争で、勝者が制作本部長の座に就くというものでした。
苦労が報われ夢見ていた立場を手に入れたアインでしたが、このアインの昇進はある目的で仕組まれたものでした。
社内派閥や男女格差と権力争いなどに、翻弄されながらも、それを逆手に取り、ピンチを乗り越えていくヒロインの姿に感動します。
また本作では、広告業界のリアルな描写が細部まで再現され、実際にビジネススキルに役立つメッセージ力もあります。
五番目にご紹介するのは、2022年放送の「財閥家の末息子」です。
財閥一家のリスクを管理する秘書が、横領の濡れ衣を着せられて殺害され、財閥家の末息子に転生して、二回目の人生をおくるファンタジーサスペンスドラマ。
同名ウェブ小説を実写化し、ソン・ジュンギさんとイ・ソンミンさん主演で、最高視聴率27%と、2022年放送のドラマの中で最も高い視聴率を記録しました。
2022年、大財閥「スニャングループ」の会長チン・ヨンギに忠誠を尽くす、秘書のソン・ジュンギさん演じるユン・ヒョヌは、会長の息子で副会長のチン・ソンジュンから資金洗浄を頼まれます。
無事に処理を終えたヒョヌでしたが、その直後、何者かによって命を狙われ、海へと転落してしまいます。
ヒョヌが目を覚ますと、そこは1987年で、スニャングループ創立者、イ・ソンミンさん演じるチン・ヤンチョルの末孫チン・ドジュンの体に魂が乗り移っていたのでした。
財閥一族へのリベンジを誓ったヒョヌは、前世の記憶と明晰な頭脳を武器に、第二の人生を歩み始めます。
時空を超えるファンタジードラマでありながらも、実在する財閥「サムスン」をモデルに書かれており、韓国経済に影響を及ぼした近代史が、うまくドジュンの復讐ストーリーに組み込まれているのがおもしろいところです。
六番目にご紹介するのは、2021年にシーズン1、2023年にシーズン2が放送された「復讐代行人 ~模範タクシー~」です。
法律では裁けない悪を倒し、被害者の無念を晴らす痛快アクションドラマ。
カリスマ性あふれる演技で圧倒的な存在感を見せつけた、イ・ジェフンさんが最優秀演技賞を、また検事を演じたイ・ソムさんが優秀演技賞を獲得するなど、2021年SBS演技大賞で6冠を獲得しました。
そして最高視聴率面では、シーズン1が16%、シーズン2では26%を記録しています。
タクシー会社「ムシゲ運輸」の社長で、犯罪被害者の支援活動を行う「青い鳥財団」代表を務める、キム・ウィソンさん演じるチャン・ソンチョルや、同社タクシー運転手、イ・ジェフンさん演じるキム・ドギらは、犯罪被害者などからの依頼に基づく「復讐代行」を行う裏の顔がありました。
一方、検事の、イ・ソムさん演じるカン・ハナは、法に則って犯罪者を処罰する立場だが、本当の正義に揺れ始めます。
また、キム・ドギら復讐代行のメンバーにはそれを行うある理由を抱えていました。
常に冷静でクールな印象が強いドギですが、潜入先ではクセの強い中国人から、ひ弱な教師、ハイテンションな会社員など、幅広いキャラクターをコミカルで魅力たっぷりに演じています。
さらにカーチェイスをはじめとした本格アクションにも挑戦しており、初挑戦とは思えないほどスリリングで華麗なアクションシーンを披露しています。
最後にご紹介するのは、2020年〜2021年にシーズン1,2,3と続いた「ペントハウス」です。
超高級タワーマンションの最上階を舞台に、富裕層の闇と狂気を描いた壮絶な復讐サスペンス。
同年代に、「夫婦の世界」に引き続き韓国で爆発的ヒットを記録したメガヒットドラマ。
最高視聴率31%という驚異の視聴率を記録した本作は、シーズン3まで制作され、規格外の人気を誇りました。
セレブたちが暮らす超高層マンションのヘラパレス。パーティーがあった夜、ある少女が高層階から転落するのを、ペントハウスに住む、イ・ジアさん演じるシム・スリョンが目撃します。
遡ること2ヶ月前、一般家庭に育ったキム・ヒョンスさん演じるロナは、財閥の子息たちが通うチョンア芸術高校の声楽科に進もうとしますが、母の大反対にあいます。
実は母のユジンさん演じるユニも、高校生の頃同じ夢を抱きつつ同級生で財閥の娘、キム・ソヨンさん演じるソジンに首を傷つけられ夢を絶たれたのでした。
そうとは知らないロナは声楽教師となったソジンのレッスンを受けようと直談判し、ソジンとユニは再会を果たします。その後自身と同じくロナが退学を迫られ、ユニは娘のために教師や保護者に宣戦布告します。
不倫や殺人事件といったショッキングな要素だけでなく、教育戦争や不動産をめぐる闘いも描かれるため、ロマンスドラマに飽きてきた人はもちろん、男性にもおすすめしたい一作です。
「21世紀最高のマクチャンドラマ」と謳われた愛憎劇は必見ものです。
いかがでしたでしょうか。
配信ドラマ数も増え、視聴率だけで人気は図れなくなってきているものの、やはり韓国で大ヒットを記録した「高視聴率ドラマ」は気になりますよね。
今回も、韓国の視聴者が太鼓判を押すドラマばかりなので、是非チェックしてみてください。