韓国では近年、過去に有名人がいじめをしていたという告発や、素行の悪さを暴露するといった動きがSNS等を中心に広まっています。
その対象となっているのは俳優、アイドル、スポーツ選手といった人たちで、「#暴Too」または「学暴MeToo」として業界全体を巻き込んだ大騒動となっています。
数年前より活発化したこの問題は、本当に加害者だったかどうか断定できない状況でも、騒動となっている以上は真相が明らかになるまで出演保留や放送延期にするしかないというのが現状だそうです。
今回は、学生時代にいじめをしていた疑惑がある韓国芸能人について紹介していこうと思います。
それでは早速ご紹介していきましょう。
「麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」「力の強い女 ト・ボンスン」「初恋は初めてなので」といった人気ドラマに出演してきたジスさんは、将来有望な若手俳優として人気を集めていました。
いじめ疑惑が提起された頃にもドラマ「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」に出演中でしたが、いじめ疑惑に関する議論が膨らんでいくことで、ドラマを降板し、所属していた事務所との契約も終了してしまいます。
俳優活動休止に追い込まれることとなった発端は、2021年3月にジスさんが中学時代にいじめの加害者だったという暴露文がネット上に掲載された事です。
暴露文を作成したA氏は、ジスさんからいじめや暴力を受けたと主張していましたが、その後、コメント等でジスさんが性犯罪を行ったという疑惑まで提訴され、ジスさんは事実無根だとして議論が長引くことになり、結果ドラマを降板し、それから4ヶ月後には虚偽事実の摘示による名誉毀損の疑いで告訴することになります。
その後、警察の調査により最初の暴露文を作成したA氏とコメントをつけたB氏は不送致処分となり、ジスさんとA氏は和解したようです。
活動休止から2年後に受けたインタビューでジスさんは、A氏とは現在はたまに連絡を取り合う仲に発展したそうで、「不良生徒と親しかったことは事実だから、他の人たちにも謝りたい」と語っています。
当時デマに関しての釈明がすぐにできなかった理由として「ドラマが放送中だった。早く謝り、降板しなければならなかった。すでに令状が出た状態だったので、釈明も出来ず入隊することになった」と話しました。
ちなみに、芸能界復帰に関しては現時点では考えていないそうで、インタビューを受けた理由として「自分がしていないことで多くのデマが公論化され、既成の事実にされた。あり得ない話が訂正されてほしい」と答えています。
ドラマ「ストーブリーグ」や「悪霊狩猟団:カウンターズ」といった作品で知られるチョ・ビョンギュさんは、学生時代を過ごしていたニュージーランドで校内暴力を主導したという疑惑が持たれることになりました。
提起した人物によると「16歳の時、チョ・ビョンギュから罵声を浴びせられ、暴力を受けた」と主張したそうですが、これに対してチョ・ビョンギュさんは自身のSNSで「やっていないことを、一体どうやって証明すればいいのだろうか。言い表すことができない。精神的な被害? 暴露記事が流れた後、外出する時は地面だけを見て歩き、数週間、眠りが何なのか分からずに生活した」と潔白を主張し、所属事務所側も暴露が虚偽事実であるとして刑事告訴に踏み切ることにします。
しかし、暴露者が現在も海外に在住しているという理由で調査を拒否しているようです。
召喚調査に応じないことに業を煮やしたチョ・ビョンギュさんは、相手側の弁護士専任費用を負担してでも(合計約12億ウォン)、直接ニュージーランドへ行き訴訟を進めようとしたそうですが、最終的には現地での訴訟は行われておらず、現在も事態は停滞したままとなっています。
これらの影響によりチョ・ビョンギュさんは、2年近くの空白期を過ごすことになりますが、シリーズの続編となる「悪霊狩猟団:カウンターズ2」が放送されるとなると暴露者が約2年ぶりに自身のSNSである提案をします。
それは「100億ウォンかけた公開検証」というもので、「いじめを受けたとされる学校で現地の警察立ち会いのもと検証を行い、そこで自分の主張が嘘だった場合、学業を終えたら韓国軍に入隊し、 顔を隠さず公共の場でフルタイムで10年間トイレの清掃をする」という提案を持ちかけます。
さらにこの人物は、こののち公開検証費用を200億ウォンに引き上げた上、さらに自身の主張が嘘ならば無条件で50億ウォン払うという提示もしますが、事務所の対応としては「書き込みの作成者が捜査機関の調査を受ければ、全て明かされる内容であるため、特別な対応はしないことにした」としています。
このいじめ疑惑が真実かどうかについては当人同士にしか分からない事かもしれませんが、お金をかけた公開検証を提案したり、マスコミやファンと一緒にチャーター機に乗ってニュージーランドに来てほしいというのは、事務所がまともに取り合わないのも当然かもしれませんね。
ドラマ「ヨンパリ~君に愛を届けたい~」「師任堂(サイムダン)、色の日記」「恋のドキドキシェアハウス~青春時代」など、デビューしてすぐに人気作品へ出演しブレイクしたパク・ヘスさんは、歌手を目指しサバイバルオーディション番組「K-POPスター4」に参加し注目されました。
優勝はできなかったものの、すぐに女優として活躍するようになりますが、2021年10月頃に「パク・ヘスはいじめ加害者だ」という投稿があり、問題が大きくなっていきます。
交換留学生としてアメリカに行っていた経験のあるパク・ヘスさんは、韓国へ帰国後、元いた中学とは別のところへ転校しますが、そこでいじめのターゲットにされ、パク・ヘスさんは、いじめの酷さから相談センターで3年間カウンセリングを受けていました。
それなのに逆の立場として騒動になってしまい、デマを流布した投稿者に対して告訴状を提出します。
ネット上でパク・ヘスさんの友人だったと言っている人たちの中には、パク・ヘスさんが加害者だったと証言する友人を自称する者と、パク・ヘスさんはそんなことをする人ではなかったと擁護する同級生とが争う形になっていて、マスコミもパク・ヘスさんのいじめ加害者説を助長している金銭目的の集団がいると報じていたりします。
投稿された写真などの証拠に関しても撮られた時期を偽っていたものが多く、これといった確たる証拠もないため泥沼化してしまいました。
パク・ヘスさんは2年ぶりに登場した公の場で「私は今の状況を避けずに向き合いながら、最善を尽くして解決しようと努力している。もう少し待っていただければ、正確に状況が整理されたときにすべて詳しくお話しできるようにする」と話しています。
さらに、この騒動が原因で放送延期となっていたドラマ「Dear.M」も1年越しに放送され、渦中に撮影していた映画「君と私」も公開されています。
しかし、未だに問題は解決しておらず、まだしばらくは本格的な活動はできないものとみられています。
シム・ウヌさんは、これまでの3人とは違い、いじめを認めて謝罪した女優です。
女優として端役を演じ、並行してヨガ講師もしていたシム・ウヌさんは、大ヒットドラマ「夫婦の世界」出演によりブレイクし、バラエティー番組やCMなどにも引っ張りだことなりました。
まさに“これから!”というところでしたが、2021年3月に中学時代の同級生から当時の素行を暴露されたことで“校内暴力女優”というレッテルを貼られることとなります。
当初は加害者であったことを認めていなかったシム・ウヌさんですが、マスコミが同級生たちへのインタビューを続け騒動が大きくなっていったことで、問題を認め謝罪することとなります。
最初の投稿から二十日間が経ってからのことでした。
シム・ウヌさんは、クラスで人気がある人や成績優秀者、そして教師たちの前では模範生を装いリーダーシップも取れるというような人物だったようですが、弱そうな子や人気グループに入っていないような子の前ではいじめを主導する立場にいたようです。
騒動から約1年半後にシム・ウナさんは映画で復帰していますが、約2年が経って自身のSNSで、いじめ加害者というレッテルを貼られたことや、いじめを認めた経緯などを吐露したことで逆風を受ける結果となりました。
一度は謝罪し、被害者の方もそれを受け入れ、女優として活動するのを容認しようと思っていたところ、「実はこうだった」という裏事情などを話してしまったことで、2次加害を引き起こすことになってしまいました。
シム・ウヌさんの心境コメントを読んでみると、今も自分が加害者だったという意識がないようですし、騒動により自分が被った被害を語り世論作りをしているように見えたり、「私は覚えていないけど、私のせいで傷つき辛かったのならごめんなさい」というような謝り方に思え、これは被害者の精神を逆なでするようなものだと感じました。
加害者側からすると記憶にもない何気なくしていたことの一つでしかないとしても、被害者からすれば決して忘れられない憎い相手ということ。
映画の舞台挨拶の際、シム・ウヌさんは「学生時代、私がその友人にした未熟な言動で、友人に思春期の学生時代に体験してはならない心の傷が深く残っていたことがわかった」とし、「幼い日に何も考えずに言った言葉と行動が、相手には深い傷として残る可能性があるという点に気づいた。
今からでもその友人に心から申し訳ないという言葉を伝える」と話したそうですが、良く覚えていない相手から謝罪されても嬉しくないですよね。
いかがでしたでしょうか?
韓国では学校内のいじめは「学校暴力」、略して学暴(ハクポク)と呼ばれるそうですが、そんな過去があったとして暴露された人は、2021年だけで芸能人が約40人、スポーツ選手も10人以上に登っており、その流れは現在も続いています。
一方で、「フェイク学暴MeToo」という問題も出てきているようで、嘘の内容がSNSなどに匿名で投稿され、そのせいで更にイメージが悪くなってしまうという弊害もあるようです。
これだけ世間から注目されても学校暴力が減っているわけではなく、この「学暴MeToo」は有名人をやり玉に挙げたストレス解消法となってしまっているという悲しい現実もあるようです。