韓国ドラマと言えば、これまで全20話前後のものが多いですが、近年は全12話クラスの短編ドラマも増えてきており、魅力ある作品も多数あります。
韓国ドラマ初心者や、長編に少し疲れてしまった方にもお薦めしたいものです。
今回は、比較的最近公開された短編ドラマの中から、6作品を選びご紹介します。
最初にご紹介するのは、2022年に公開されたドラマ「未成年裁判」です。
実在する少年法を題材に、視聴者へ少年犯罪の実態を訴えかける社会派ドラマです。
百想芸術大賞で、TVドラマ部門の脚本賞を受賞しています。
キム・ヘスさん演じるシム・ウンスクは、未成年の犯罪者たちを嫌悪する判事。
ことある事に「あなたたち(未成年犯罪者)を嫌悪します」という言葉を発する彼女が赴任したのは、青少年犯罪率が最も高い裁判所でした。
未成年の犯罪者にも、執拗な追求をし冷徹な審判を下す彼女は、法廷に新しい風を吹かせることが出来るのでしょうか。
韓国でも、法廷ドラマは人気のジャンルですが、これまでは少年犯罪に特化したものがなかっただけに、配信前から話題性は十分でした。
見所は、キム・ヘスさんの迫真の演技。
強烈なのは、法廷シーンで、壇上から少年犯たちそれを取り巻く大人たちをバッサリ斬る箇所は胸を打たれます。
続いてご紹介するのは、2021年に公開されたドラマ「D.P. －脱走兵追跡官－」。
事情を抱えた脱走兵と、彼らを追う追跡官を描いた物語です。
人気ウェブ漫画が原作のドラマで、これまで触れられなかった、韓国の軍隊問題を赤裸々に、かつドラマチックに描き、百想芸術大賞では、TV部門の作品賞、男性助演賞（チョ・ヒョンチョルさん）、男性新人賞（ク・ギョファンさん）の三冠に輝きました。
兵役義務により入隊した、チョン・ヘインさん演じるアン・ジュノは、鋭い洞察力を評価され、軍の脱走兵を追跡するための部隊「D.P」に配属されます。上等兵のク・ギョファンさん演じるハン・ホヨルと組み、初めての任務に挑むアン・ジュノでしたが、思わぬ事態が発生。
やがて、アン・ジュノは、兵士たちがどのような想いを抱えて脱走を試みたのかという過酷な現実を知っていきます。
軍隊の不条理と無関心な社会への問題提起だけでなく、エンタメとしても高い完成度で、「歴代級の名作」と高い評価を得ました。
シーズン1、2ともに6話完結なので、シーズン一気見がおすすめです。
また、脱走兵チョ・ソクポン役で、助演男優賞を受賞したチョ・ヒョンチョルさんの鬼気迫る演技は必見ものです。
完璧に役を消化し、主演のチョン・ヘインさんなどを圧倒しています。
三番目にご紹介するのは、2019年に公開されたドラマ「補佐官」。
政治の世界で暗躍する敏腕補佐官が目指す頂点にたどり着くまでを描く物語です。
イ・ジョンジェさん演じる、エリート青年チャン・テジュンは、警察学校をトップで合格し、首席で卒業したにも関わらず、己の信念に従い警察を辞めてしまいます。
その代わりに選択したのが「国会議員の補佐官」の道でした。
そして国会議員、キム・ガプスさん演じるソン・ヒソプの補佐官を務めて10年。「青瓦台へ行こう！」というヒソプの元で、忍耐強く影でヒソプを支え続けました。
野心も身についたテジュンが、とある事件をきっかけに、行動に出ます。
このドラマは、「補佐官シーズン1」の位置づけですが、たった10話の中で数々の事件や難題が起きるスピーディーな展開ですので、しっかり観ていないと、起きている事件や登場人物も見失ってしまいます。
視聴の集中力が必要です。
また最後は、少々不完全燃焼気味ですが、既に2023年に公開されている、続編の「シーズン2」を見てもらえれば、モヤモヤが解消すると思います。
四番目にご紹介するのは、2020年に公開されたドラマ「人間レッスン」。
重大な犯罪行為に手を染めた優等生が、深い社会の闇へと引きずり込まれていくサスペンスドラマです。
目立たない性格だが成績優秀な高校生の、キム・ドンヒさん演じるジスは、中3の終わりに両親が家を出て行ったことを隠して1人で生きていました。
彼の夢は、皆と同じように進学して就職することでしたが、そのためには、生活費や家賃、学費に塾代とたくさんのお金が必要で、大金を稼ぐために人知れずある犯罪に手を染めていたのです。
ある日、ジスの仕事を知ってしまった、同じクラスの、パク・ジュヒョンさん演じるギュリが、ジスの仕事を一緒にやりたいと言い出して、ジスの計画は大きく狂い始めます。
展開が予測不可能なストーリーは秀逸で、また若手からベテランまで層の厚いキャストの演技も圧巻です。
残酷な描写もありますが、サスペンス好きならぜひ見て欲しい作品です。
五番目にご紹介するのは、2023年に公開されたドラマ「もうすぐ死にます」。
地獄行き間際の主人公が、12回の死と生を経験することになる転生ドラマです。
人気Web漫画が原作で、ソ・イングクさんをはじめ超豪華キャスティングで大きな話題を呼びました。
ソ・イングクさん演じるチェ・イジェは、就職活動がうまくいかず、追い討ちをかけるように災難が続き、絶望のなかビルの屋上から飛び降りました。
しかし、死んだはずのイジェの前に、パク・ソダムさん演じる「死」が現れ、死を軽んじたとして「いずれ死ぬ12人の体に乗り移る」という罰を受けることになります。
地獄行きを免れるため、イジェは、乳児、殺人鬼、刑事、ホームレスなど12人の体に乗り移ります。
最初は訳もわからぬまま死を迎え続けますが、次第に乗り移った人物が死なないようにと奔走するようになります。
死にたくなくても死んでしまったり、死を回避したと思っても殺されたり、やがてお金に対する欲が芽生えたり、正義感に目覚めたりと多くの人生を経験して、紆余曲折がありながらも、イジェは死に対して真正面から向き合います。
12回の死と生を扱った本作は、それぞれが予想外の展開で「死」を迎える過程を描きながら、死と人生への深いメッセージを投げかけました。
また短いながらもアクションあり、サスペンスあり、笑いあり、号泣ありで、最終的に全ての話が一つにつながっていく秀逸な脚本と、俳優陣の熱演に絶賛の声が相次ぎました。
最後にご紹介するのは、2021年に公開されたドラマ「酒飲みな都会の女たち」。
アラサー女性三人が、恋愛・仕事・友情・家族といった人生の問題と向き合いながら、成長していくストーリーです。
あまりの人気にシーズン2の要請が殺到した超人気作です。
大学時代からの親友、イ・ソンビンさん演じるアン・ソヒ、 ハン・ソナさん演じるハン・ジヨン、チョン・ウンジさん演じるカン・ジグは、何よりお酒が大好きで、1日の終わりにお酒を飲むことを生きがいとしています。
そんな三人は酔っぱらって失態をおかしてしまうこともしばしば。
いくつもの失敗を重ねながらも、お酒だけはやめることができません。
それぞれ嫌な出来事があったその日も、三人で何本もお酒を開け、そのままコンビニにはしごしてまた飲む始末。そしてクリスマスが近づき、ソヒ・ジヨン・ジグは1人の男性と会うことになります。
「共感できること」が最大の見どころです。
主人公たちが抱えている恋や仕事の悩みは、同じアラサー女性なら誰もが経験したことがあるようなリアルなものばかりです。
またメインキャストの三人のキャラクターも、個性豊かでありながらも親しみやすく、愛さずにはいられない魅力があります。
いかがでしたでしょうか。
短編とは言え、脚本が面白く充実している韓国ドラマには、みるべきものが沢山あります。
話数が多い長編ドラマは苦手だという方には、一日で一気見も可能な短編ドラマの視聴をお薦めします。