イ・ビョンホンさんといえば元祖韓流四天王の一人として知られていますが、実は早くからハリウッドに進出し成功した方でもあります。
ハリウッド進出以降の活動は映画中心となり2009年の大作ドラマ「IRIS-アイリス-」に出演してからはドラマ出演から遠のいていました。
そんな中で久々にドラマ出演したのが「ミスター・サンシャイン」でした。本作はテレビドラマとしては異例の430億ウォンという制作費をかけて制作されたケーブルテレビドラマであり、同時にNetflixでも配信され高い評価と視聴率を獲得しました。
今回はそんな話題作「ミスター・サンシャイン」についてご紹介したいと思います。
ミスターサンシャインはどんなドラマ?
「ミスター・サンシャイン」は2018年に放送された大ヒット時代劇です。
主演はイ・ビョンホンさんとキム・テリさんで、「太陽の末裔」と「トッケビ」という大ヒット作を手掛けた監督・脚本家コンビによる作品としても注目を集めました。
キャスティングも非常に豪華で、主演クラスが何人も出演しているだけでなく、「太陽の末裔」や「トッケビ」の主要キャストたちが続々とカメオ出演しているんです。
最高視聴率20%という記録もケーブルテレビドラマ作品としては非常に高く、コンサルティング会社の調査では主演のイ・ビョンホンさんとキム・テリさんが“今年最も活躍した俳優”の第1位と第2位に選出されています。
ドラマの舞台設定も珍しいもので、よくある朝鮮時代や日本統治時代でもなく、日本が韓国を統治する前の1900年代初頭、朝鮮王朝後期を舞台にしているんです。
アメリカに渡った元奴婢の海軍大尉が主人公というのも他にはないものですし、清、ロシア、日本、アメリカという大国の動向が朝鮮という国の命運に大きく関わってくる激動の時代でもあり、時代劇というよりも近代史に近いかもしれません。
そんな中で出会った二人の男女の恋は、歴史に翻弄されながらも実を結ぶことが出来るのか?というのが本作の概要となります。
あらすじ
両班(ヤンバン)の下で働く奴婢の子供として生まれたチェ・ユジンは、両親が主人に殺されたことをきっかけに全てを捨てて逃げ出す決意をします。
そして、1871年に勃発した辛未洋擾(しんみようじょう)の混乱に乗じてアメリカ軍艦コロラド号に乗り込んだユジンは、わずか9歳にしてアメリカの地にたどり着くことになるのです。
その後、差別を勝ち抜き海兵となったユジンは、やがて米軍海兵隊の大尉となり、名前をユジン・チョイとします。晴れて正式なアメリカ国民となったユジンでしたが、アメリカが日本とロシアを牽制する目的のため軍隊を朝鮮に駐留させることになり、その役を英語と朝鮮語が堪能なユジンが引き受けることに。
両班によって両親を殺され、そんな国が嫌で逃げ出してきたユジンにとって朝鮮は野蛮な国という印象しかありませんでしたが、そこである一人の女性と出会ったことでユジンの運命に変化が訪れます。
その女性とは、朝鮮最高名家士大夫(したいふ)の令嬢コ・エシン。祖国を守るための戦いを密かに行っていたエシンと出会い、やがてユジンは彼女に惹かれていくのですが…。
出演者について
ここからは同作の展開の鍵を握る出演者を紹介していきましょう。
イ・ビョンホン(ユジン・チョイ役)
ユジン・チョイは単身渡米し海兵となった米軍海兵隊大尉です。
元々朝鮮の奴婢の子供だったユジンは、差別に苦しみながらも海兵隊に入隊し将校となります。
そして任務のために祖国朝鮮の地へ向かうことに。
ちなみにユジンの子供時代は天才子役キム・ガンフン君が演じています。
90年代にテレビドラマの青春スターとして活躍したイ・ビョンホンさんは、その後ドラマ「美しき日々」や「オールイン運命の愛」などが日本でも大人気となり韓流四天王の一人として広く知られるようになります。
映画においても大ヒットした映画「JSA」や「甘い人生」で主演したイ・ビョンホンさんは、大作ドラマ「IRIS-アイリス-」への出演以降はハリウッドへ進出し映画中心の活動へシフトしていきます。
その後も「G.I.ジョー」や「ターミネーター:新起動/ジェニシス」といったハリウッド大作への出演と、大ヒット作「王になった男」「インサイダーズ/内部者たち」「密偵」「MASTER/マスター」などの韓国映画へ出演してきたイ・ビョンホンさん、そんな中で約9年ぶりにドラマ出演したのが本作でした。
その後も映画「白頭山大噴火」「KCIA 南山の部長たち」ドラマ「イカゲーム」「私たちのブルース」などのヒット作に出演し、2023年夏に韓国で公開された最新映画「コンクリート・ユートピア」ではパク・ソジュンさん、キム・ボヨンさんと共に主演を務めています。
キム・テリ(コ・エシン役)
コ・エシンは朝鮮の名家コ家最後の血族です。
村人からエギシ(お嬢様)と呼ばれており、日本で亡くなった両親の代わりに祖父に育てられました。
実は射撃の名手であり、人知れず祖国のために義兵として闘っています。
本作でドラマデビューしたキム・テリさんは、2016年公開のパク・チャヌク監督映画「お嬢さん」の主人公に抜擢され、映画賞を総なめにし一気にブレイクします。
そして本作でイ・ビョンホンさんの相手役として更に知名度を高め、映画「1987、ある闘いの真実」「リトル・フォレスト 春夏秋冬」「スペース・スウィーパーズ」、ドラマ「二十五、二十一」「悪鬼」といったヒット作や話題作に出演していきます。
最新作は二部作構成のSF映画「宇宙+人」で、第一部は既に公開され、第二部が2024年1月公開予定となっています。
ユ・ヨンソク(ク・ドンメ/石田翔役)
ク・ドンメは朝鮮最下位階級の白丁(ペクチョン)として生まれ、日本に渡り石田翔という浪人となった人物です。浪人組織の漢城(ハンソン)支部長となり、唯一ドンメを蔑まなかったエシンのために朝鮮に戻ってきます。
映画「建築学概論」で注目されドラマ「応答せよ1994」で一気にブレイクしたユ・ヨンソクさん。
その後も映画「ビューティー・インサイド」や「その日の雰囲気」、人気ドラマ「浪漫ドクターキム・サブ」などに出演し現在の地位を確立します。
近年は人気シリーズ「賢い医師生活」や「愛と利と」「ナルコの神」など話題作に出演し、2023年11月公開予定の最新作「運の良い日」ではイ・ソンミンさん、イ・ジョンウンさんらと共演しています。
チョ・ウジン(イム・グァンス役)
イム・グァンスはユジン専属のアメリカ公使館通訳官です。
デイビッド・マッキニスさんが演じたユジンの上司で友人のカイル・ムーアーと共に場の雰囲気を明るくするキャラクターです。
チョ・ウジンさんは名バイプレイヤーとして数多くの作品に出演してきた俳優さんで、主演のイ・ビョンホンさん主演の映画「インサイダーズ/内部者たち」への出演をきっかけに有名になりました。
ちなみにドラマ「トッケビ」や「ナルコの神」「宇宙+人」にも出演しており、本作のキャストやスタッフと関わりの深い方ですね。
キム・ミンジョン(工藤陽花/イ・ヤンファ役)
ホテル・グローリーの社長・工藤陽花は、朝鮮人イ・ヤンファとして生まれ育つも、日本人老資産家に嫁いだことで外国人御用達ホテルの社長となった人物です。
キム・ミンジョンさんは9歳の時に子役デビューしたベテラン女優です。
代表作にドラマ「ニューハート」「客主〜商売の神〜」「マン・ツー・マン」「悪魔判事」などがあります。
近年は所属事務所とのトラブルが世間を賑わせたこともあってか、俳優活動が出来てないようですね。
ピョン・ヨハン(キム・ヒソン役)
キム・ヒソンは祖父同士が決めたエシンの許婚です。
しかし、日本に留学に出たと聞いて既に10年以上が経っており、その結果エシンは婚期を逃したオールドミスと呼ばれることになります。
放蕩生活を精算して朝鮮へ帰ってきたヒソンは見たこともなかった許婚エシンを見て悔やむことになるのですが、エシンの為に婚姻を遅らせることで罪滅ぼししようとします。
ピョン・ヨハンさんはドラマ「ミセン」でブレイクした演技派俳優です。
その後はドラマ「六龍が飛ぶ」への出演やミュージカル俳優として活躍し、映画「声/姿なき犯罪者」「ハンサン−龍の出現」では主演を務めています。
キム・ヘウン(ユン・ホソン役)
ユン・ホソンはヒソンの母です。
ヒソンは大地主のキム・アンピョンの息子であり、ヒソンの祖父キム判書がユジンの両親を死に追いやった人物です。
キム・ヘウンさんはアナウンサーから転身した女優です。出演作が多い名バイプレイヤーとして知られ、2022年にはドラマ「二十五、二十一」、
「アンナラスマナラ -魔法の旋律-」「弁論をはじめます。」などに出演しています。
キム・ガプス(ファン・ウンサン役)
陶工のファン・ウンサンは、逃げてきた子供時代のユジンを助けた人物であり、実は義兵隊の首長です。
悪の親玉から気のいいおじさんまで幅広く演じ分けるキム・ガプスさんは、劇団出身のベテラン俳優です。
90年代よりドラマ・映画に出演し、韓国映画やドラマ好きならば誰もが知る俳優の一人となりました。
本作以降も、ドラマ「賢い医師生活」シリーズや「Sweet Home〜俺と世界の絶望〜」「今日のウェブトゥーン」などに出演し、最新作はキム・スヒョンさんとキム・ジウォンさんが主演する2024年放送予定のドラマ「涙の女王」です。
まとめ
以上、名作と名高いドラマ「ミスター・サンシャイン」について紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
時代背景的にも韓国視点からの作品という意味でも、日本人が悪人として登場していますが、個人的にはストーリーに無理やり入れたわけではないので“反日作品”といった印象は受けませんでした。
それよりも両班以外を人とも思わない者たちへの悪感情や、自分たちが生き延び得をするために国や子供まで切り売りした権力者たちへの皮肉の方が印象強かったですね。
時代に翻弄された者たちの悲恋という王道ストーリーが主軸なので、想像以上にドラマチックで見やすいドラマになっていると思います。
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