近年は、日本と韓国で相互にリメイクドラマが盛んに行われているようです。
過去日本で放送された名作ドラマが、海を越えて素晴らしい韓国ドラマに生まれ変わっているのを見るのも楽しいものです。
今回はその中でもお薦めの日本ドラマの韓国リメイク作品をご紹介します。
原作との違いもお楽しみください。
それでは早速見ていきましょう。
まずはじめにご紹介するのは、日本で2010年に松雪泰子さんと芦田愛菜さんが主演した、人気ドラマ「Mother」が原作となる、マザー~無償の愛~です。
韓国では、2018年にイ・ボヨンさんとホ・ユルさんの出演で、「百想芸術大賞2018」で作品賞を受賞し、高い評価を受けた話題作となりました。
幼い頃に受けた心の傷を抱え、心を閉ざして生きてきた、イ・ボヨンさん演じるスジン。
勤めていた鳥類研究所が閉鎖され、小学校の非常勤教師として働くことになります。
そこでコ・ソンヒさん演じる母親と、その恋人から虐待を受けている、ホ・ユルさん演じる8歳の少女ヘナと出会うことに。
ヘナが虐待を受けていることを知ったスジンは、これまで感じたこと のない自分の母性に気づきます。
そしてスジンはへナを守るため、偽の母娘となって二人で逃亡することを決心します。
児童虐待に誘拐という基本的なストーリーは、日本の原作に忠実ですが、それに韓国ドラマ特有のラブロマンスを加え、サスペンス感を増して、より魅力的に生まれ変わっています。
村上もとかの名作マンガ「JIN-仁-」を原作に、2011年、大沢たかおさん主演の日本ドラマ
「JIN-仁-」が驚異の視聴率を叩きだしました。
韓国側では、韓流スターのソン・スンホンさんをはじめ、ラブコメ女王パク・ミニョンや日本でも人気の高いジェジュンなど、豪華キャストが集結し、2012年にドラマリメイクしています。
ソン・スンホンさん演じる、天才外科医ジン・ヒョクは、ある患者の脳から奇妙な腫瘍を取り出して以来、度々激しい頭痛に襲われます。
妹のパク・ミニョンさん演じるジン・ミナが交通事故に遭い、命を取り留めるものの意識は戻りません。
失意に暮れるジン・ヒョクは、例の患者が病院の屋上から飛び降りるのを止めようとしてビルから落ち、 朝鮮王朝時代にタイムスリップしてしまいます。
やがて彼は過去を変えてしまうと知りつつも、人々の命を助けるために奔走し、歴史そのものを変える出来事に関わっていきます。
果たして、ジン・ヒョクが現代に戻れる日は来るのでしょうか?
現代からタイムスリップした天才外科医の奮闘に加えて、韓国時代劇には欠かせない王朝末期の政治闘争も混じり、スリリングな展開が続きます。
日本版とは異なる展開もあるため、原作ファンの人でも全く別のドラマとして楽しめます。
日本で、2001年~2010年に連載された大ヒット少女マンガ「のだめカンタービレ」を原作として、2006年に上野樹里さんや玉木宏さん主演でドラマ化を、また2009年に映画化もされ、興行収入が78億円を越える大ヒットとなりました。
韓国側では、「グッド・ドクター」のチュウォンさんや、韓国人女優初の日本アカデミー賞受賞という快挙を果たした注目の女優シム・ウンギョンさんが主演で、2014年にドラマリメイクされています。
完璧主義者の音大生、チュウォンさん演じるチャ・ユジンは、指揮者を夢見るも飛行機恐怖症で留学出来ず、韓国でくすぶっていました。
そんなある日、ユジンは一風変わったピアノソナタを聞き目を覚まします。
そこで見たのは、ゴミだらけの部屋でピアノを弾く、シム・ウンギョンさん演じるソル・ネイルでした。
音楽を純粋に楽しむネイルとの出会いによって、少しずつユジンは変わり始めます。
韓国版では、原作にはない天才チェリストとして、抜群のルックスで人気のパク・ボゴムさんが登場してます。
ユジンの強力なライバル役を好演し、三角関係の恋愛模様は韓国ドラマファンを惹きつけました。
日本では2002年に、大ヒットドラマを手がけた北川悦吏子さんが脚本を書き下ろし、木村拓哉さんや明石家さんまさんに深津絵里さんが主演したことで話題となり、平均視聴率23%を獲得。
韓国版では、2018年にソ・イングクさん、パク・ソンウンさん、チョン・ソミンさんが演じ、韓国の制作会社がフジテレビと共同制作したことでも話題となりました。
広告デザイナーの、チョン・ソミンさん演じるユ・ジンガンは幼い頃に両親を失い、20歳年の離れた兄、パク・ソンウンさん演じるユ・ジングクと二人で暮らしています。
ある日、ソ・ウンスさん演じる親友ペク・スンアの陶芸展に招待され、そこでビール会社の従業員、ソ・イングクさん演じるキム・ムヨンと出会い、彼の失礼な発言に憤慨します。
一方、スンアはムヨンに夢中になり、彼と付き合い始めます。
しかしムヨンが別の女性と映画館にいる姿を目撃したジンガンは、スンアへの気持ちが本気だとは思えず、ムヨンに会うたびにケンカ腰になってしまいます。
韓国版では、北川悦吏子作品の独特な世界観を継承しながらも、独自の色を加えてさらなる名作に仕上がっています。
主演のソ・イングクさんのミステリアスな演技が素晴らしく、プロデューサーに「この役はソ・イングクしか考えられなかった」と言わしめました。
日本側では2011年、「家政婦のミタ」なる題名で松嶋菜々子さんが主演し、最高視聴率40%を叩き出し、社会現象を巻き起こす大ヒットドラマとなりました。
一方、韓国版では2013年に、ロマンスの女王チェ・ジウさん主演で完全リメイク。
日本版ともシンクロし大きな反響を呼びます。
イ・ソンジェさん演じるウン・サンチョルは、二男二女の父親で、子供たちの教育のためにフィリピンで暮らす妻たちと別居していました。
ある日突然、妻が死に、子供たちは父親の元へ戻ってきますが、子育てに慣れていないサンチョルは困ってしまいます。
サンチョルは長女の家事の負担を減らすために家政婦を雇いますが、派遣されてきた、チェ・ジウさん演じるパク・ボンニョは、仕事は完璧だが、絶対に笑わず、命令されたことだけするという怪しい人物でした。
壊れかけた家族が、ひとりの謎めいた家政婦と出会い、家族の絆を強めていく感動のホームドラマです。
一人一人のキャラクターを丁寧に描いており、感動のラストに涙してしまいます。
また韓国版では、日本版にはない主人公のロマンスも描かれているのも見どころです。
日本では2012年に「リッチマン、プアウーマン」の題名で、小栗旬さんと石原さとみさんが主演。平均視聴率は12.4%でしたが、評論家の受けがよく、ザテレビジョンドラマアカデミー賞などを受賞しました。
韓国版では、2018年にEXOのスホさんやハ・ヨンスさんが主演し、日本版と同様に胸キュンが止まらないラブコメに仕上げました。
韓国で急成長中のIT企業の代表、スホさん演じるイ・ユチャンは、過去のトラウマで他人の顔が覚えられない障がいを抱えていました。
少年期の初恋の人キム・ブノンを長年探し続けてきたユチャンは、就職試験会場で「キム・ブノン」と名乗る就活生のハ・ヨンスさん演じるキム・ボラに出会います。
ボラに興味を持ったユチャンは、その優れた暗記能力を買って期限付きで雇うことに。
そして社運をかけた一大事業の商談のため、膨大な資料を覚えさせるのでした。
主人公たちの胸キュン恋愛模様に加え、原作同様に企業ドラマの要素も入れ込み、見応え十分です。さらに原作にはない、切ないエピソードもプラスされているので、原作を見た人も楽しめます。
続いてご紹介するのは、日本側では、2014年「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」の題名で、上戸彩さんと斎藤工さん主演で放送された、大ヒット不倫ドラマです。
平均視聴率14%を獲得し、ザテレビジョンドラマアカデミー賞・脚本賞などを受賞しました。
また2017年には映画化もされています。
一方韓国側では、2019年にパク・ハソンさんとイ・サンヨプさんが主演し、日本版の陰湿で官能的な雰囲気を忠実に再現し、許されない恋を繊細に描きました。
パク・ハソンさん演じるソン・ジウンは結婚5年目の主婦で、公務員の夫と平凡な日々を送っていました。
ある日ジウンは、向かいの家に引っ越してきた、イェ・ジウォンさん演じるチェ・スアから不倫のアリバイ作りの協力を頼まれます。
スアは大手出版社代表を務めている夫にふたりの娘と裕福な暮らしをしていましたが、実は彼女は、平日の昼間に不倫を繰り返している、「平日昼顔妻」だったのです。
「幸せ」を守るためにスアの要求に従うジウンは、生物教師のイ・サンヨプさん演じるジョンウに出会い、やがて越えてはいけない一線を越えてしまうことになります。
「禁断の愛」を洗練された演出と映像美で描き、完成度の高い作品に仕上がっています。
また登場人物の巧みな心理描写と心を打つセリフで共感を呼び、韓国女性の間で人気を博しました。
日本側では2016年に同名タイトルで、伊藤英明さんと木村佳乃さんが主演し、コンフィデンスアワード・ドラマ賞・助演女優賞などを獲得しています。
一方韓国版では、「パリの恋人」のキム・ジョンウンさんと「あなたに似た人」などの作品で強烈な印象を残している、チェ・ウォニョンさんが主演を務め、2022年に放送されています。
レストランを運営するチェ・ウォニョンさん演じるユンチョルと、キム・ジョンウンさん演じる妻のジェギョンは結婚6年目の夫婦。
ユンチョルは事業がうまくいかず、ジェギョンに支援を求めるも断られます。
ジェギョンとの生活に息苦しさを感じたユンチョルは密かに部下のチェ・ユファさん演じるソンミと不倫を重ねていました。
ある夜、ソンミにジェギョン殺害計画を持ち掛けられたユンチョルは、薬物入りのワインを持って帰宅しますが妻の姿はなく、血痕と身代金を要求するメモが残されていました。
突然の事態に驚きつつも妻のいない生活を謳歌しますが、実は姿を消したジェギョンには壮大な計画がありました。
本作は「危険な争い」を始める夫婦を通じて、結婚生活の素顔を描いています。
妻の復讐に追いつめられる夫の姿や、妻の完璧な計画が明らかになった時に鳥肌が止まりません。
またどんでん返しの連続の果ての衝撃的な結末も見逃せません。
次にご紹介するのは、日本版は2005年に同名タイトルで天海祐希さんが主演し、最終話のラストシーンでは瞬間視聴率31%を記録した女王の教室です。
韓国版では、2013年にコ・ヒョンジョンさんが主演し、鬼の女教師と小学6年生の奮闘と成長を描いた感動のドラマです。
サンドゥル小学校の始業式の日、6年3組のキム・ヒャンギさん演じるハナは、親友のイ・ヨンユさん演じるナリから、新しい担任が前の学校で「魔女」と呼ばれていたと聞かされます
クラスに現れた、コ・ヒョンジョンさん演じるマ・ヨジン先生はその異名のとおり、次々に生徒たちを追い込んでいきます。そして耐えきれなくなった生徒たちは—。
天海祐希さんが演じた、冷たい眼差しと冷笑を浮かべる女教師を、日本でも注目を浴びた女優コ・ヒョンジョンさんが熱演しています。
また、キム・ヒャンギさんをはじめカン・チャニさんなど、豪華な子役たちの名演も必見ものです。
さらに実際の韓国の教育問題を取り上げたことや、胸を打つ名台詞が数多く、韓国でも名作の声が多い作品です。
乾くるみ氏の傑作ミステリー「リピート」をドラマ化したもので、日本側では、2018年に「リピート~運命を変える10ヶ月~」の題名で、貫地谷しほりさん、本郷奏多さん、ガレッジセールのゴリさんが主演しました。
韓国側では、2020年にイ・ジュニョクさん、ナム・ジヒョンさん、キム・ジスさんが主演し、没入感最高のドラマとして検索ランキングで圧倒的1位を獲得しています。
自分のせいで先輩刑事が殺された過去を引きずる、イ・ジュニョクさん演じる刑事チ・ヒョンジュと、不慮の事故で車椅子生活を余儀なくされた、ナム・ジヒョンさん演じる人気漫画家シン・ガヒョンは、失意の日々を過ごしていました。
その二人のもとに、ある日突然、精神科専門女医キム・ジスさん演じるイ・シンから電話がかかってきます。
「現在の記憶を持ったまま、1年前に戻れる」と聞き、二人は指定された施設を訪問。
そして、同じように集められた8人の男女とともに1年前に「リセット」し、人生をやり直すことに。
しかし、参加者が次々と謎の死を遂げ、ヒョンジュとガヒョンは「リセット」の秘密と事件に挑み、運命を変えようと奮闘します。
過去へ戻る設定はそのままですが、日本版とは違ったキャラクターと、ストーリーも大幅に見直しされ、スケール感がアップしてます。
いかがでしたでしょうか。韓国でも多くの日本ドラマがリメイクされ人気を集めています。
中には韓国のゴールデングローブ賞とも言われる「百想芸術大賞」を受賞した傑作も。
今回はそんな10作品をご紹介しました。
それぞれの国によって描写が違ってくるところは、惜しくもあり面白くもあるので是非チェックしてみてくださいね。