皆さんは2012年に韓国で公開されたイ・ビョンホンさん主演の時代劇映画「王になった男」をご存知でしょうか?
共演陣はハン・ヒョジュさんにリュ・スンリョンさん、キム・イングォンさんやシム・ウンギョンさんといった豪華なメンツで、この映画は観客動員数1,200万人超えの大ヒット作となり、その年の国内の映画賞も総ナメにしました。そんな傑作映画を2019年にヨ・ジングさん主演でドラマ化したのが本作なんです!
果たして約2時間の映画をどのように全16話のドラマとして仕上げたのか?そしてストーリーや展開にどのような変化があるのか?今回はドラマ版「王になった男」がどんな内容かについてと映画版との違い、そしてあらすじや出演者についてもご紹介していこうと思います。
「王になった男」は朝鮮時代を舞台とした見た目が瓜二つの王と道化師を主人公とした時代劇です。
実在した王・光海君に“実は影武者がいた”というフィクション要素をプラスしているのが本作の特徴で、玉座を巡っての権力闘争が激化する最中に、時の王イ・ホンが命を狙う者たちから逃れるために自分とそっくりな道化師ハソンを影武者に仕立てるところから物語がはじまります。
ハソンは王のふりをしていく中で様々な憤りや問題にぶち当たり、次第に本当の王のように良い国にしたいと思いはじめます。その王の人の変わりように事情を知らない周りの者たちは驚きますが、次第に周囲に良い影響を及ぼし、最初王を避けていた王妃の心までも動かしていくのです。
この展開は映画と同様で、主役の俳優が王と道化師の一人二役を演じることも共通しています。しかしドラマ版では、映画では描かれなかった王妃ソウンとの恋愛要素が入ってきます。
このラブロマンス要素の強化が大きな違いの一つで、そのためにハソンのキャラクターや設定が変わっているのも特徴です。映画版でのハソンは道化師らしい愉快なキャラクターを活かして王妃との距離を縮めていきましたが、ドラマ版では傲慢な王とは正反対の純粋で誠実な面を見せることで王妃の印象を良くしていきます。
さらに、ハソンの妹を暴行した左議政親子への復讐という要素も新たに加わり、復讐という目的もあってハソンは王の影武者となる決意をします。このハソンの妹の存在も、映画版では登場しなかったドラマ版オリジナル要素です。
ちなみに、チョ内官役を務めたチャン・グァンさんは、どちらのバージョンでもこの役で出演しています。
朝鮮王朝中期、国王イ・ホンは王座を狙う勢力から命を狙われているばかりか、自分の命令により死んだ弟の悪夢に悩まされ眠れぬ日々を送っていました。誰のことも信じられず精神的に追い詰められていく王を見かねた側近のイ・ギュは、王とそっくりな道化師のハソンを見つけ影武者に仕立てることにします。
報酬につられ影武者役を引き受けたハソンは、身の危険を感じて一度逃げ出してしまうのですが、妹がひどい仕打ちを受け失語症になったことで、その者への復讐のために王の変わりを続けることにします。
一方、冷酷な王イ・ホンを頑なに拒んできた王妃ソウンは、ある日突然優しくなった王に戸惑っていました。
戸惑いながらも、次第にハソンに惹かれていく王妃の恋心が見どころです。
今回はそんなドラマ版「王になった男」の出演者たちをご紹介したいと思います。
見た目が瓜二つの王イ・ホンと道化師ハソンは、王の側近イ・ギュの策略によりハソンが王の影武者として身代わり生活を送ることになります。そして権力者により妹がひどい仕打ちを受けたことから、その復讐をするため影武者としての覚悟を決めるのです。
精神的に追い詰められた冷酷な王と、純粋で誠実な道化師ハソンという正反対な二役を一人で演じたのは子役出身俳優のヨ・ジングさん。
子役時代には“時代劇の申し子”と呼ばれ様々な作品で主人公の少年時代を演じてきましたが、現在は主演俳優として様々な作品に出演しています。代表作としてドラマ「太陽を抱く月」「ホテルデルーナ」「絶対彼氏」「怪物」などがありますが、一方でバラエティ番組やオーディション番組のMCなども務めています。
ソウンは聡明で優しい王妃です。これまで敬遠してきた王がある日突然変わったことに戸惑いながらも、次第に惹かれていくようになります。
そんな王妃を演じるのはヨ・ジングさんと同じく子役出身の俳優イ・セヨンさん。
子役時代には名作時代劇「宮廷女官チャングムの誓い」などに出演し、現在ではドラマ「医師ヨハン」「赤い袖先」「ルール通りに愛して!」などで主演を務めています。最新作は2023年11月下旬より放送される「烈女パク氏契約結婚伝」です。
王の側近である都承旨(トスンジ)のイ・ギュは、王に瓜二つの道化師ハソンを影武者にするため宮廷に連れてきた人物です。最初は苦しむ王に心を痛め、身代わりに仕立てたハソンを厳しく監視していましたが、次第にハソンのことを認めて絆を強くしていきます。
そんなイ・ギュを演じたのはポン・ジュノ監督による名作映画「殺人の追憶」や、映画祭の常連ホン・サンス監督作品の常連としても知られているキム・サンギョンさんです。
ドラマ作品では「大王世宗」での主演や「家族なのにどうして?」への出演が有名で、2022年からは「朝鮮精神科医ユ・セプン」シリーズに出演しています。
絶大な権力者である左議政(チャイジョン)シン・チスの姪ということで王イ・ホンの側室となったのがソンファダンです。
この役を演じたソ・ユナさんもまた中学生でデビューした子役出身俳優です。しかし、下積み時代が長かったようでメインキャストに起用されたのは2015年のドラマ「星になって輝く」からでした。
その後は様々な有名作品に出演するようになり、2022年以降は「ドクター弁護士」「今日のウェブトゥーン」などに出演しています。
チュ・ホゴルは朝鮮一の数学者です。
元々は賭博中毒でしたが、イ・ギュに才能を見込まれ同志となります。
イ・ギュハンさんはドラマ「私の名前はキム・サムスン」で有名になった名バイプレイヤーです。
多くの作品で主人公の友人や元カレといった3番手役を演じており、「私の心が聞こえる?」「内省的なボス」「先輩、その口紅塗らないで」などに出演しています。最新作は2023年夏に放送されたドラマ「ずっとあなたを待っていました」です。
ガプスはハソンの叔父で道化師です。
このキャラクターを演じたユン・ギョンホさんは、大ヒットドラマ「トッケビ」で注目を浴びて以降引っ張りだこな人気俳優ですが、元々数多くの映画に出演してきた名バイプレイヤーです。
強面な顔を行かした悪役の印象が強いですが、2023年公開予定のNetflixドラマ「重症外傷センター」ではチュ・ジフンさんと共にメインキャストの一人を演じ、秋公開のカン・ハヌルさんとチョン・ソミンさん主演の映画「30歳」にも出演しています。
チンピョン君はイ・ホンに父と兄を殺され恨んでおり、大妃やシン・チスと反乱を起こそうとします。
近年、出演ドラマ「サバイバー: 60日間の大統領」「静かなる海」「39歳」「ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜」が軒並みヒットしているイ・ムセンさん。
これまでにも数多くの作品に出演しているんですが、ほとんどがメインキャストではありませんでした。ところがキム・ヒエさんと共演した2020年のドラマ「夫婦の世界」が大ヒットし、“ユンギ病”と呼ばれ多くのファンを獲得することとなります。
そんなイ・ムセンさんの最新作はイ・ヨンエさんと共演する2023年12月放送開始のドラマ「マエストラ」です。
このように人気俳優が沢山出演している本作ですが、まさかイ・ムセンさんがここまでブレイクするとは思いませんでした。本作は、主演の二人が共に子役出身俳優という点も面白いのですが、短い映画をドラマ化して別の面白さを見せてくれたというのは斬新です。
立場が変わることで自分の意識が変わり周りにも影響を与える、ということを描いた映画版は個人的に名作だと思っていましたが、映画版では詳しく描かれなかった王妃とのロマンスや、影武者を引き受ける明確な理由を足したことでいい意味で別のものとして楽しむことができる作品ですね!