韓国ドラマや映画でいつも強烈なインパクトを残すお母さん(オンマ)たち。その影で優しく微笑むお父さん(アッパ)たちの存在も欠かせません。
貧しいながらも家族のために奮闘する姿や心に響く言葉を送るシーンは本当に感動しますよね。
また時代劇になれば威厳のある父親として登場し、大事なキーパーソンとなることも。
今回は、様々なお父さん役を演じる7人の俳優をご紹介します。
まず始めは、ドラマや映画、演劇と幅広く活躍するチョン・ソギョンさんです。
1998年に演劇デビューして以来、確かな演技力で数々の作品に出演しているチョン・ソギョンさん。素朴な役も魅力的に演じられるのは、演劇俳優として培った表現力が影響しているのだと考えられます。
医者や会社員、タクシー運転手など上司役が多いイメージでしたが、実はお父さん役としても活躍していたのをご存知でしょうか。
2016年のドラマ「雲が描いた月明かり」ではキム・ユジョンさん演じる主人公ラオンの養父役を演じ、血の繋がりが無くても想い合う親子愛を見せ感動を呼びました。
また2019年のドラマ「彼はサイコメトラー」では放火事件の容疑者と疑われる父親役で、寡黙ながら娘を想う姿は切なさが溢れ、視聴者も心打たれたことでしょう。
主役級に目立つ役は多くありませんが、安定した演技力で時に優しく時にコミカルに役を演じ、作品にスパイスを効かせ活躍しています。
続いては、柔らかい笑顔と優しい父親役で定評のあるチョン・インギさんです。
1990年に演劇デビューすると、4年後には映画デビューも果たしました。
以来、映画を中心に活躍を続け、短編映画を含む映画出演本数は130本を超えています。ドラマと合わせると韓国俳優の中でもトップを争うほどの出演本数だとか。インタビューでは「生活のために熱心に出演してきた」と語っていましたが、制作側からも起用したいと思える魅力があってのことですよね。
また優しく子供思いなお父さん役を演じることが多く、視聴者からは「チョン・インギさんのお父さん役が好き」と根強い人気があります。
2010年のドラマ「シークレットガーデン」では主人公ライムの父を演じました。消防隊員として事故現場に向かうと不幸にも事故に巻き込まれ、ドラマ序盤で殉職してしまいます。出演シーンは多くはありませんでしたが、その後のストーリー展開に大きく関係する人物でもあったため印象深い役となりました。
ドラマの人気とともに「ライムのお父さん」というイメージがついたチョン・インギさん。
「あまりの評判に嬉しく感じる反面、苦労して培ってきた俳優歴が一瞬でひとつの役に染まってしまったことに少し苦い思いもした」と語っていました。それほど努力を重ねてきたということですよね。
他にも「リメンバー~記憶の彼方へ~」や「華麗なる誘惑」など様々な作品でお父さん役を演じています。
3人目は、優しいお父さん役から意地悪な上司まで幅広い役を演じるオム・ヒョソプさんです。
1990年にミュージカルでデビューして以来、豊かな表現力で様々な役を演じてきました。
2012年のドラマ「神々の晩餐」では主人公ジュニョンの養父を演じ、頼りないけど娘を大切に思う優しい姿に「憎めないお父さん」として話題となりました。
他にも「秘密の扉」や「星から来たあなた」などでお父さん役として出演しています。
「善徳女王」では悪役となる商人を演じ、新たな一面も見せましたが、視聴者からは「優しく品のあるオム・ヒョソプ」としての印象が根強い様です。
「どんな役でも容易な役はない」と語るオム・ヒョソプさんは、演じる役の長所や短所を理解し確実に表現してきました。
今後も多くの作品でオム・ヒョソプさんの演じる役をみたいですよね。
4人目は、コミカルからシリアスまでどんな役でも演じてしまうソン・ドンイルさんです。
何気なくドラマや映画を見ていたらソン・ドンイルさんが出演していた!と思った人も多いのではないでしょうか。本当にたくさんの作品で活躍していますよね。
複雑な家庭で育ったこともあり、早くから自立して舞台俳優として活動していました。
1991年に俳優デビューしますがヒット作に恵まれず、長い下積み時代を過ごします。
1998年になりようやく、視聴率30%を超えた人気ドラマ「ウンシル」に出演し注目を浴びました。
その後は「推奴〜THE SLAVE HUNTERS〜」や「麗〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」、「賢い医師生活」など時代劇・現代劇問わず様々なジャンルの作品に出演し、圧倒的な演技力で視聴者を魅了し続けています。
中でも、3作品を通して出演したドラマ「応答せよ」シリーズでは、愛情深く子供に向き合う父親役がハマり「国民の父親」と呼ばれるほど人気となりました。
プライベートでは2児の父でもあり、役だけでなくリアルな父親としての経験が活かされているのではと考えられます。
どんな役でも演じる表現力と人々を惹きつける個性があるソン・ドンイルさん。
今後の活躍にも要注目です。
次は、これまで多くの作品で圧倒的な存在感をみせるチョン・ホジンさん。
漠然と俳優に憧れを抱いたままオーディションに合格し、1983年にデビュー。
まだ高い演技力はありませんでしたが、端正な顔立ちとスター性のある雰囲気で期待されていたようです。
その後は着実に演技力を身につけていき、数々の賞を受賞するほどのベテラン俳優となりました。
2012年放送のドラマ「いとしのソヨン」では主人公ソヨンのお父さん役を演じ、最高視聴率49.3%を記録するほどの大ヒットとなりました。チョン・ホジンさんが演じたのは、小さな下請け会社の課長として働くも会社は倒産し、それをきっかけにギャンブル依存となり娘の学費まで使い込むほどどん底に落ちたお父さん役でした。
自分自身の不甲斐なさに葛藤する姿を繊細に演じ、それまでのファミリードラマとは一味違った「父と娘」の親子愛を表現した作品だと話題になったのです。
また2017年に出演したドラマ「黄金の私の人生」では主人公ジアンのお父さん役で、会社が倒産し家族の運命が大きく変わってしまう苦しい物語に視聴者は胸を打たれました。
苦しい中でも子煩悩で優しいお父さん役を演じ、ドラマは47.5%もの視聴率を記録することになります。
本作でチョン・ホジンさんはKBS演技大賞も受賞し、全52話を通して「ジアンの父、ソ・テスの物語だ」と言われるほどの存在感をみせました。
近年では祖父役も演じるなど、役の幅はまだまだ広がりそうです。今後の活躍も楽しみですね。
6人目は、コミカルな役がぴったりとハマるイム・ヒョンシクさんです。
1969年にタレントとしてデビューすると、庶民的な見た目を武器にコミカルな役で人気を得てきました。
1986年から約8年間も放送されたドラマ「ひとつ屋根の三家族」では主人公スンドルのお父さん役を演じ、優しく子供思いな「スンドルパパ」のイメージが定着したイム・ヒョンシクさん。
2002年には家族愛がテーマのドラマ「華麗なる時代」で働き者の愛妻家役で出演。我が子だけでなく近所の子供たちみんなの成長を優しく見守るお父さん役は、イム・ヒョンシクさんによく合っていました。他にも日本で放送された韓国ドラマにも多数出演しており、ファンミーティングが開かれるほど人気となりました。
2017年にアレルギー性喘息を患い、一時は入院が必要なほど酷い呼吸困難に陥ってしまいます。長年の過度な喫煙が原因だったようで、その後は固く禁煙を誓ったのでした。
現在は芸能活動をセーブし、デビュー当初から始めていた農業に力を注いでいるようです。多忙な芸能界から離れ、穏やかな日々を送っているのでしょう。
最後は、ファンからも「本当のお父さんだったらいいのに」と言われるほど優しく穏やかな雰囲気をもつチャン・ヨンさんです。1971年にタレントとしてデビュー。当時はクールな刑事役などを演じていましたが、いつからか庶民的なお父さん役が中心となっていきました。
2010年放送のドラマ「パスタ~恋ができるまで~」では主人公ユギョンのお父さん役で出演し、不器用ながら自身と同じ料理人を目指す娘を応援する温かく優しいお父さんを見事に演じました。
また2013年にはお母さん(オンマ)役で活躍する女優のナ・ムニさん、キム・ヘスクさんと共にドラマ「王家の家族たち」に出演し、定年退職後の人生について悩むお父さん役を演じました。誰もが感じる悩みや葛藤を見事に表現したことで「世のお父さんの代弁者」と呼ばれるほど視聴者を深く共感させます。
庶民的ながら内面から溢れる穏やかな雰囲気に、韓国でも根強い人気を誇っているチャン・ヨンさん。
近年では映画にも出演し、スローペースながら精力的に活動を続けています。
今回は、お父さん(アッパ)役で活躍する俳優を7名ご紹介しました。
世のお父さんたちが感じている繊細な感情が見事に表現された作品ばかりで、ベテラン俳優の演技力の高さを改めて感じますよね。
内面から出る雰囲気も相まって、視聴者から根強い人気を得ているのだと考えられます。
今後も、作品には欠かせないスパイスとなるお父さん役にもぜひ注目していきたいですね。
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